目算なき延長…政権正念場 「再々」なら五輪に影響

 菅義偉首相は5日、首都圏1都3県の緊急事態宣言について、21日まで2週間の再延長を正式決定した。解除基準はクリアしているものの、解除した後のリバウンドの懸念や、病床が安定的に確保できるかを見極めるため「安全策」(政府関係者)を取った形。総務省接待問題が尾を引く中、政権が望みを託す東京五輪の聖火リレーは延長期限の4日後、25日にスタートする。宣言を全面解除した環境で迎えて期待を高められるか、正念場だ。

 午後9時に始まった記者会見の冒頭、首相は1月のピーク時から漸進的に改善してきた感染状況のデータを示しながら、国民に感謝を伝えた。「皆さま方の踏ん張りと、心を一つにして懸命に取り組んでいただいた結果です」。そして低姿勢のまま、生活のさまざまな場面における自粛の継続を訴えた。「今、私がすべきことはリバウンドを阻止し、宣言を解除できるようにすること。一層の協力を心からお願いする」

 1月7日の緊急事態宣言再発出から約2カ月がたった。内閣支持率は、新型コロナの感染状況と対策に直結して上下している。次の2週間で感染を下火に抑え込めず、21日の期限を泥縄式に再々延長するような事態に陥れば、聖火リレーに冷や水を浴びせるだけでなく、東京五輪・パラリンピックの開催機運をさらにしぼませてしまう。

 感染状況のリバウンドは、政権がウイルス対策の「切り札」と位置付けるワクチン接種にも痛撃だ。4月から高齢者向けの接種開始を予定しているが、コロナ治療で医療提供体制が逼迫(ひっぱく)していると、医師、看護師のマンパワーを集団接種に十分に回せなくなる。ワクチン調達もはかどっておらず、接種計画の繰り延べは不安を増幅しかねない。

 政権は、首相の長男が勤める放送事業会社「東北新社」の総務省幹部接待問題にも直面している。内閣広報官が辞職しても鎮火に至らず、NTTによる高額接待にまで延焼して着地点が見えない。与党議員による銀座クラブ会食や、五輪組織委員会会長の辞任・交代劇の難題もあった。側近は「次から次へと。もう同情しかない」と首相を案じ、こう続ける。「コロナさえ、うまく抑え込めればな-」

 ウイルス“第4波”の種火を鎮圧し、国民に安全安心を届けて政権浮揚につなげられるか、否か。「勝負の2週間」が始まる。

 (一ノ宮史成)

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