脱炭素に揺れる石炭火力 福島事故後CO2排出急増、強まる逆風

【東日本大震災10年 九州の電力事情】

 石炭や液化天然ガス(LNG)を燃料とする火力発電は福島事故後、停止した原発に代わって主力電源を担った。太陽光など再エネが普及した九州では、夜間や悪天候時の調整電源としても重要性を高めた。

 九電の二酸化炭素(CO2)排出量は原発停止で急増。2013年度は10年度比1・7倍の5210万トンに達した。発電量に占める石炭火力の比率は、原発再稼働後の19年度も29%を占める。

 だが、地球温暖化の深刻化に伴い、CO2排出量が多い火力への風当たりは強まる。昨年10月、菅義偉首相は50年までに温室効果ガス排出量を実質ゼロにする目標を宣言。経済産業省は宣言に先立ち、30年までに非効率な石炭火力の休廃止を検討する方針を示し、事業者や立地自治体は揺れた。

 九電と電源開発(Jパワー)の石炭火力計4基が立地する長崎県松浦市の友田吉泰市長は「発電所関連は市の生産額の2割を占める。人口減だけでなく税収減も避けられない」と懸念する。

 Jパワーは、休廃止対象とされた発電所の修繕費や設備投資で、地域の中小事業者への発注額は1地点当たり年10億~30億円に上ると試算。地域経済への影響が大きいとして一律の休廃止ではなく、高効率化や水素が利用できる設備への更新を進める方針を示す。

 九電も「電源のバランスを考えると火力は今後も必要」とし、石炭火力の燃料にアンモニアを混ぜる「混焼」や、排出されたCO2を回収・貯留する技術の開発動向を注視する考えだ。

 政府は「非効率」の具体的な定義の検討を続けている。議論の行方を関係者は固唾(かたず)をのんで見守る。

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