個別接種は?副反応は?感染者もOK? ワクチンQ&A

 新型コロナウイルス対策の切り札となるワクチンの優先接種が2月、九州でも医療関係者を対象に始まった。高齢者への接種は4月以降に本格化する見通しだ。西日本新聞「あなたの特命取材班」には、ワクチンに対する不安や疑問の声が続々と届いている。日本ワクチン学会理事の森内浩幸長崎大教授(小児感染症)にアドバイスをもらった。

 Q 広い会場での「集団接種」と、かかりつけ医での「個別接種」。選べる場合どちらがいいですか。

 A 持病があったり、アレルギー症状を起こしたことがあったりと心配事がある人は、病気の状態を把握しているかかりつけ医での接種が望ましいでしょう。

 集団接種の場合も、予診票に記入し、会場の医師に治療中の病気などを申告します。「病気を診てもらっている医師にワクチンを受けてよいと言われましたか」という項目もあります。

 集団接種しかない市町村に住んでいる人は、かかりつけ医に、自分はどのような申告が必要かを事前に相談しておくと、スムーズな接種ができるでしょう。

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 Q 副反応がけっこうあると聞き、心配です。

 A 接種した場所の痛みや腫れはよく起こりますが、痛み止めが効きますし、数日内に治ります。悪寒も間もなく治まります。特に2回目の接種後に疲労を感じたり発熱したりする人がいますが、数日内に治まります。これらはワクチンが起こす炎症反応で、体がウイルスに対する強い免疫を獲得するための準備状態に当たります。私個人は副反応とは受け止めておらず、体がワクチンにきちんと反応している「うれしい兆候」と捉えています。

 Q アナフィラキシーを起こしたらどうなるの。

 A アナフィラキシーは重いアレルギー反応です。発生頻度はファイザー製で約20万回に1回、モデルナ製で約36万回に1回。100万回に1回のインフルエンザワクチンより高いですが、風邪薬などと比べると圧倒的に低く、非常にまれと言えます。万一に備えて、特効薬は注射器に入った状態で準備するので、問題なく対応できます。

 Q 過去に注射でふらっとしたことがあります。

 A 注射への恐怖や痛みなどで一時的に脳貧血状態を起こし、気分が悪くなったり、失神を起こしたりする人がいます。「血管迷走神経反射」といいます。精神的な影響が大きく、その人にとって接種場所が安心できる環境かどうかが大きく関わります。顔なじみの医師による接種だと起こりにくいため、個別接種をお勧めします。集団接種の場合も、あらかじめ申告し、失神に備えて横になって受けるのが望ましいです。会場にはベッドが必要です。

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 Q 感染者が接種してもいいのでしょうか。

 A 無症状の場合、自身の感染を知らずに接種する可能性もありますが、問題ありません。感染していることで特別な副反応が起こることは全くなく、さらなる免疫の強化につながる可能性もあります。過去に感染し、症状が出て治った人も、変異株が広がれば再感染するリスクが十分あるので、接種をお勧めします。

 Q ワクチンは変異株にも効くのでしょうか。

 A 現時点ではデータがなく「効果が落ちるのは間違いないが、全く効果がなくなるわけではない」としか言えません。変異株の中でも、特に南アフリカ型やブラジル型に対しては、効き目が6分の1になるとの報告もあります。しかし「95%の有効率が約15%に落ちる」のではなく、「感染をブロックする抗体の数が6分の1程度に減ってしまう」という意味。効き目は多少落ちてもゼロになるわけではありません。2回打てば抗体量も増えるので一定の効果は期待できます。

 Q 変異株に対応するワクチンは作られますか。

 A ファイザーもモデルナも製造を進めています。インフルエンザワクチンは製造に半年以上かかりますが、今回のワクチンは6週間もあれば出荷可能です。新型コロナウイルスの特徴的なタンパク質を作るもととなる、メッセンジャーRNAと呼ばれる人工的に作った遺伝物質を、油脂の粒子でくるむという非常にシンプルな工程だからです。変異株を必要以上に恐れる必要はありません。

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 Q 「接種するべき」という世の中の圧力を感じますが、気が進みません。

 A どのような理由であっても、接種しない自由は当然あります。ワクチンの有効性、安全性が正しく理解されれば、ハイリスクの高齢者や、後遺症が心配で感染したくない人など、多くの人が接種すると思いますが、頭で分かっても心が受け付けないことはあります。受けたくない人に、プレッシャーをかけるのは絶対にしてはいけません。

 一方で、免疫を持つ人の増加で流行を抑える「集団免疫」は、ワクチンによってある程度進むと期待されます。「多くの人が接種すれば、接種しない人たちも含めて集団免疫で守ることができる」という発想が必要です。 (吉田真紀)

 新型コロナウイルスワクチン 政府は1月、米製薬大手ファイザーから年内に計7200万人分の供給を受けることで正式に契約。国立病院機構の系列病院などに勤務する医師、看護師ら約4万人への優先接種を2月に開始。感染者に接する機会の多い医師や看護師、薬剤師ら470万人にも広げ、4月以降に65歳以上の高齢者3600万人への接種を始める。同社製のワクチンは、3週間の間隔を置いて計2回の接種が必要だが、供給の遅れが懸念されている。米モデルナや英アストラゼネカとも供給を受けることで契約済み。

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