荒唐無稽なうそ信じ続け 不安につけこまれた母

 福岡県篠栗町で昨年4月、5歳の男児を餓死させたとして、保護責任者遺棄致死容疑で母親の碇(いかり)利恵容疑者(39)と知人の赤堀恵美子容疑者(48)が逮捕されてから、9日で1週間となる。捜査関係者などへの取材から、身近な作り話にだまされた碇容疑者が次第に荒唐無稽なうそも信じるようになり、孤立と生活困窮を深めていった経緯が明らかになってきた。

 「○○さんがあなたの悪口を言ってるよ」。関係者によると、発端は2018年6月、幼稚園のママ友グループの人間関係を巡って赤堀容疑者が耳打ちした作り話だった。

 碇容疑者が不安を抱くと、赤堀容疑者の話は膨らんだ。「相手の親族は暴力団関係者。あなたを訴えると言っている」「示談の話がまとまった」。碇容疑者は、子どもの将来のための貯金から50万円を取り崩し、夫に内緒で赤堀容疑者に渡した。関係者は「これを機に標的にされた」とみる。

 うそはエスカレートした。「旦那さんが浮気している」。信じた碇容疑者は離婚した。「元夫の不倫相手への慰謝料」という理屈の通らない名目で毎月10万円を払い続けた。他の親族についても「裏切られているよ」などと不信感を植え付けられていったという。

 赤堀容疑者は「監視カメラで見張られている」などと怖がらせた。息子3人と暮らす碇容疑者宅を頻繁に訪れ、一家の食事の量を制限した。餓死した三男の翔士郎ちゃんの体重は、5歳児平均の約半分だった。

 赤堀容疑者は一家の生活を支配する一方、碇容疑者宅を数日間訪れないこともあった。その間、碇容疑者は自由に行動できたが、親族や行政に助けを求めることはなかった。

 今宿病院(福岡市)の精神保健指定医、阿部公信さんは「マインドコントロールされると、暴力や監禁がなくても相手の言う通りに行動するようになる。不安を解決してくれる相手だと思い込み、他者との接触を遮断されることで、子どもが衰弱するような深刻な状況であっても正常な判断ができなくなるケースはあり得る」と指摘する。

 赤堀容疑者は容疑を否認している。(山口新太郎、田中早紀)

 

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