「もう1年以上…」コロナ禍、国際カップルに国境の壁

 「新型コロナウイルス禍でもう1年以上、外国にいる恋人と会えていません」。卒業を控えた大学4年生の女性(21)=宮崎市=から、西日本新聞「あなたの特命取材班」につらい声が寄せられた。恋人はポルトガル人の男性(22)。日本では昨春から配偶者や家族など「特段の事情」が認められた場合や一部のビジネス往来を除き、欧州のほぼ全域を入国制限の対象としてきた。多くの国際カップルが会えない日々に悩んでいる。

 2人が知り合ったのは3年前の2018年。女性が通っていた長崎市内の大学に男性が留学したことがきっかけで交際は始まった。

 彼が帰国した後も、毎日のように会員制交流サイト(SNS)などで連絡を取り合った。最後に会ったのは19年末。女性がポルトガルを訪れ、家族や友人と一緒にクリスマスを過ごした。

 「20年の春には日本に会いに行く」。空港での別れ際に彼は誓ってくれた。しかしその後、世界的に新型コロナの感染が拡大。婚姻関係にない2人の再会は実現しないままだ。

 女性が大学を卒業したら彼も来日して就職し、一緒に暮らそう、とも話していたのに-。新型コロナで人生設計が狂いつつある。

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 こうした状況に陥っている未婚の国際カップルは少なくない。

 ツイッターなどSNS上では、同じ境遇の国内外の未婚カップルたちが「Love is Not Tourism(愛は観光ではない)」というハッシュタグを付けて投稿。入国条件の緩和を各国政府に求め、拡散を続ける。

 実際、コロナ感染拡大の後も、欧州などの一部で婚姻していない外国人の恋人について入国制限を緩和した国もあった。

 例えばデンマーク。交際が3カ月以上続く未婚カップルなどの場合、入国直前の検査での陰性証明や、それぞれの連絡先などを記した証明書の提出-といった要件を満たせば入国可能になった。違反があった場合は偽証罪などに問われる可能性もあるという。

 日本の出入国在留管理庁によると、国内では152の国・地域が上陸拒否の対象(3月5日時点)。日本人や永住者の配偶者など、「特段の事情」がある場合は入国が認められている。「日本にいる親族が危篤状態になっており、会いたい」など個別の緊急性などを考慮して判断しているが、婚姻関係にないカップルについては「緊急性や必要性があると補完する事情があれば別だが、基本的に難しい」と担当者は説明する。

 女性は今、就職の関係から宮崎市内で暮らす。会えないつらさを我慢する日々、「外国人を国内に入れたらウイルスが流行する」といったネット上の心ない書き込みに傷つくこともある。「違反した場合の罰則も含めて入国緩和の制度をつくっている国もあるのだから、日本でも議論を進めてほしい」と訴える。

 出入国在留管理庁の担当者は議論の進行具合について「当事者にとっては一大事だが、関係省庁で話題に上っているとは聞かない」と話す。(黒田加那)

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