福岡と交流が契機、大槌をスポーツと防災の町に

 会社員、岩間徹さん(58)には夢がある。地元の岩手県大槌町を、全国の子どもたちがスポーツで交流し、防災を学べる拠点にしたい-。町の活性化につながることを願い、有志とともに立ち上がろうとしている。

 地元の少年サッカーチーム「大槌SC」の監督を務めていた。プロチーム、川崎フロンターレの前身「富士通」でプレーした時期もある。

 交流、防災教育構想のきっかけは、福岡市南区のチーム「大橋FC」を招いた2年前の交流試合。福岡の子どもたちは滞在中、対戦を楽しみながら、東日本大震災で身内を失った人や、命からがら生き延びた人から直接話を聞いた。津波が来たときには、自分の命を守るため逃げることを諭した三陸地方の「津波てんでんこ」を学んだ。

 岩間さんも、当時小学5年だったチームの大切な選手と母親が波にのまれたことを伝えた。むせび泣く大人の姿に戸惑いながらも、子どもたちは真剣に受け止めようとしていた。その表情、津波の怖さや命の大切さを学んだと記した作文に心を打たれた。

 震災後、海岸線には新たな防潮堤が築かれ、土地は2メートルかさ上げされた。高速道路も延伸し、町内にもインターチェンジができた。利便性は向上したが、それは盛岡市など内陸部に人を集めるストロー現象も引き起こした。

 4年前に新築した自宅周囲には6軒分ほどの空き地が広がる。「お隣さん」はなかなか来ない。住宅再建の補助金制度が終われば、新築はさらに難しくなるだろう。

 だが、悲観的になってばかりはいられない。

 町にはサッカー場や野球場、テニスコートも新設される。太平洋に面した地域は冬場でも積雪がなく、気候がいい。仮設住宅の跡地に長期滞在できる施設があれば、全国の子どもたちが集える。プロ選手らもきっと支援してくれるだろう。

 先行きの見えない地域でも、自分たちが存在意義を見いだすことが、この地の犠牲者への弔いにもなるのではないか。「『忘れないで』という受け身の姿勢から、震災を自分たちの言葉で被災地以外の次世代にも伝える役割を果たしたい」

 あの時の福岡の子どもたちの真剣な表情に、背を押されている。 (上野洋光)

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