震災10年 なお残る「負の遺産」

 眼前に巨大な壁が立ちはだかるような錯覚に陥った。昨年、東京電力福島第1原発を訪れた。高さ、幅ともに約12メートル、容量約1千トンのタンクが千基余りも並ぶ構内は異様だった▼タンクの中身は、放射性物質に汚染された水を浄化した「処理水」だ。東日本大震災後、原子炉建屋は爆発。事故で溶け落ち、今も取り出せずに残る核燃料に触れた雨水や地下水を処理し、保管している。来年秋には容量上限に達するが、処分方法は決まっていない▼汚染水を巡っては2013年、当時の安倍晋三首相が東京五輪・パラリンピック招致の場で「アンダーコントロール(統御下)にある」と発言し、物議を醸した。震災から10年を経てもなおコントロールできないタンク群が、問題を先送りしてきたことによる「負の遺産」に映る。 (吉田修平)

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