豊かな自然と埋もれた感情 沼田真佑『影裏』

酒井信さん寄稿

 「岩手というところは、じつに樹木が豊富な土地だと、夏が来て改めて思う」という一節が読後に強い印象を残す作品である。

 作者の沼田真佑は北海道の小樽市生まれであるが、インタビューによると親の転勤で千葉、埼玉を経て、福岡に落ち着き、福岡大付属大濠高を経て西南学院大に進学している。影響を受けた作家として福岡市生まれで、九州を舞台にした作品を多く記した梅崎春生を挙げているから、西日本への思いも強いのだと思う。2011年の東日本大震災の発生時も沼田は福岡に居住...

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