「接待」問題質疑 国民の疑念深まるばかり

 まさに行政がゆがめられていた-。それが真相ではないか。総務省の幹部が高額接待を繰り返し受けていた上、許認可の審査もずさんだった実態が、国会審議でもあぶり出された。

 参院予算委員会はきのう、中島信也・東北新社社長、澤田純・NTT社長を参考人招致し、一連の接待問題で質疑した。

 特に質問が集中したのは、総務省が東北新社のBS4K放送の事業認定を取り消す方針を決めた外資規制違反の件だ。

 東北新社が2016年10月に事業申請し、翌17年1月に認定され、同10月に子会社に承継された。申請時点から、東北新社の外資比率は放送法が定める「20%未満」を超えていた。中島社長はこの経緯を認めて陳謝した上で、外資規制について担当社員の認識が不足していた、と釈明した。

 武田良太総務相は「主な原因は東北新社にあった」としつつ「総務省にも問題があった」と述べた。これは本末転倒ではないか。事業申請では、ミスや不備がないよう指導・監督するのが行政の責務だ。その点こそ、まず問われるべきである。

 中島社長からは重大な発言もあった。東北新社は子会社に事業承継する前の17年8月に違反に気付き、総務省にも報告したが、そのまま承継が認められたという。これに関し、同省側は「担当職員に報告を受けた覚えがない」との説明に終始した。極めて不可解な話である。

 同省の審議官らへの接待は16年から続き、東北新社に勤める菅義偉首相の長男が同席した例が多かった。加えて、子会社への承継認定は、接待を受けた1人で内閣広報官を辞任した山田真貴子氏(当時は同省情報流通行政局長)が決裁していた。

 審査は事業者の申告に基づく形式的な内容で、外資比率を実際に確認する仕組みはなかったという。事実なら制度の抜け穴であり、違反が意図的に見逃された疑いも拭えない。事実関係のさらなる究明が欠かせない。

 接待の目的について中島社長とNTTの澤田社長は「意見交換」が基本で、便宜供与の要請などはなかったと説明した。事実だろうか。NTTは総務相経験者2人とも会食をしていた。

 菅首相と武田総務相は「国民の疑念を招くような会食に応じたことはない」と繰り返しながら、NTTとの会食の有無については明言を避けている。この点も釈然としない国民は多いのではないか。

 武田総務相は週内に第三者による検証委員会を立ち上げる考えを示した。野党はこれと並行して首相の長男らの国会参考人招致や特別委員会設置を求めている。与党は応じるべきだ。

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