たどり着いた「思いが灯るキャンドル」 作り手・横山理吉

シン・フクオカ人 #26

 〈没頭できることに出合うには、時間が必要な時もある〉

 横山理吉(46)=福岡市=は会社員の傍ら、「Rikichi  Candle」の名でキャンドルを作っている。

 特に人気なのは、ガラス玉みたいに透明な球形の作品。さまざまな色や気泡を漂わせ「地球」や「惑星」を表現している。青いグラデーションでキューブ形の「海氷」や、14面体のものまである。触れるとプルプルしているのは、半固形のジェルワックスを溶かして作るからだ。

 一つ一つが手作りのオンリーワン。納得いかない物は売らないので、すぐ品切れさせてしまうのが悩み。安全性を重視し、化粧品などにも使われるミネラルオイルを高純度に精製した、国産材料を使用している。

 全て独学で、試行錯誤を繰り返してきた。高温のワックスでやけどをすることもあるが、作品ができあがった時の喜びが勝る。

 「自分の発想を形にするのが楽しくて、あっという間に時間が過ぎる」

横山理吉さんの作品「惑星」

    ◆    ◆

 愛媛県新居浜市出身。コンタクトレンズの販売会社で北九州市に配属され、20代で店長になった。やりがいはあったが、どこか違和感があった。

 自分が好きなことは何だろう。そういえば、幼い頃から工作やプラモデル作りが好きだった。モノ作りできる仕事を、と考えて福岡市の眼鏡店に転職。眼鏡の加工や研磨など、難しい仕事ほど楽しかった。でも、だんだん機械で簡単に作れるようになり、物足りなさを感じていた。

 キャンドルに出合ったのは4年ほど前。知人からキャンドルアーティストを紹介され、ひと目で「ピン」ときた。自分のイメージだけで形のない流動体を形にする、その難しさに挑みたくなった。作り方の教室もあったが、教える人の色に染まりたくはなかった。

 仕事の合間に研究を重ねること2年、作品として世に出せるようになり、インターネット販売を始めた。

 「自由に発想して創造したモノが受け入れられて幸せです」

    ◆    ◆

 最近は、イベントの演出に関わることも多い。2018年と19年は福岡県糸島市で開催された「サンセットライブ」に、昨年は阿蘇山麓での「阿蘇キャンドルナイト」に呼ばれた。

 阿蘇では300本以上のキャンドルを用意して、1カ月間、毎週末に通った。自然災害や新型コロナウイルスなどで不安な日々が続く中、キャンドルのあかりを思い思いに楽しむ人たちの姿を見られたことが何よりうれしかった。

 今年2月には福岡市内のカフェバーで音楽、映像、ダンスを組み合わせたイベントを主催した。キャンドルのゆらめきの中で、ダンサーが影のように舞った。

 闇を照らすだけでなく、「オブジェ」としても楽しめる作品を追究している。もはやアーティストと呼べるかもしれないが、名刺の肩書は「作り手」。モノを「作る」ことにこだわっていきたいという意思表示だ。

 社会人になって20年以上もがきながら、やっと切り開いた世界。好きなことと向き合って活動しながら感じることがある。

 「キャンドルを囲めば穏やかな気持ちになれるし、いつもとは違う話もできる。非日常の空間をつくり出す力があるんです。これからも人々の思いがともる作品を作っていきたい」

 「作り手」として自立できる日を目指し、今日も一人アトリエにこもる。

 =文中敬称略(加茂川雅仁)

■Rikichi  Candleのウェブサイトはこちら

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