復興道半ばの離任「心残り」 巡査部長に住民ら感謝状

 4年前の九州豪雨で大きな被害を受けた大分県日田市大鶴地区にある日田署大明駐在所勤務の井川隆之巡査部長(53)が、異動で被災地を離れる。地域を駆け回り、顔なじみが増えた着任2年目に豪雨が襲い、地区の景観は変わり果てた。「復興を見届けることができず、心残りです」。慣れ親しんだ人々を忘れず、新たな職場でも大鶴の早期の復興を見守っていくつもりだ。

 白いあごひげがトレードマークの井川巡査部長は2016年3月、城原駐在所(竹田市)から、大鶴、夜明両地区を管轄する大明駐在所に赴任。住民との密接な付き合いが好きで、希望通りの異動だった。

 着任後は1年かけて約800軒の各戸を巡回。地区の集まりにも積極的に顔を出した。「誰もがフレンドリーで、助けられる面もあった」と振り返る。

 あの日、17年7月5日のことははっきりと覚えている。強くなる雨脚に不安が募った。非番だったが夕刻、公民館の様子を見に行こうと制服に着替えパトカーに乗車。しかし途中の交差点は既に冠水しており、その場で雨に打たれながら交通整理に当たった。

 被害は想像以上だった。河川氾濫や土砂崩れでJR日田彦山線は寸断され、多くの民家が浸水被害に遭った。「のどかだった地域が一変してしまった。やむを得ず古里を離れていく人も見てきた」。悲しみに包まれる地域に、警察官としてできることは少なかった。

 それでも地域が復興へと歩み始めると、少しでも地域の力になろうと、自らの仕事であるパトロールや声掛けに一層励んできた。

 今月初旬、下郷駐在所(中津市)への25日付での異動辞令が出た。それを聞いた住民組織「大鶴振興協議会」は11日、公民館で感謝状贈呈式を開いた。

 「住民は安心して生活できた。まだ居てほしかった」と惜別の言葉を述べた協議会の井上正信会長(71)。井川巡査部長は「目まぐるしい日々でした。皆さんのおかげで勤め上げることができました」と感謝した。 (鬼塚淳乃介)

大分県の天気予報

PR

PR