自粛疲れ…宣言に限界 首相打つ手なく全面解除

 菅義偉首相は18日の国会説明、記者会見で、東京都などの感染者数が増加傾向にあるにもかかわらず緊急事態宣言を全面解除する判断理由を問われたが、苦しい受け答えに終始した。経済のダメージに加えて「自粛疲れ」や「宣言慣れ」が広がり、「このまま宣言を三たび延長しても感染抑止効果は見込めない」(政府高官)状況に追い込まれたのが実態と言える。

 「全国の新規感染者数は大きく減少した」「(病床使用率が改善し)医療提供体制の負担も軽減させた」。この日午後、首相は衆参の議院運営委員会で宣言解除の根拠を挙げ、理解を求めた。だが、与党議員も「昨年の宣言全面解除時とは新規感染者数のレベルが違う。大丈夫か」(自民党の御法川信英氏)と疑問視するムードが委員会室を覆う。夜の記者会見では、首相も「リバウンドの懸念がある」と認めざるを得なかった。

 実際、東京都の新規感染者数を見ると、首相が解除を表明した17日は400人を超えて1カ月ぶりの高水準に。18日も323人を数えた。変異株の脅威も全国的に急拡大しており、この日の政府の諮問委員会でも専門家から「もろ手を挙げて解除に賛成はできない」との声が相次いだ。

 それでも、首相が解除に踏み切るのはなぜか。

 5日の再延長時、経済に配慮し、飲食店に出した営業時間短縮要請の範囲拡大など、もう一段の強い措置は取らなかった。春本番を迎えるのに伴い、都内の繁華街などでは人出が軒並み増加。政府高官は「国民の(自粛に耐える)心は折れてしまっている」と漏らす。「現行宣言ではもう打つ手がない」

 政局的な思惑も見え隠れする。官邸筋によると、首相は今年1月の宣言発出、再延長時と同じく、今回も確執のある小池百合子東京都知事の動きを警戒。小池氏が先手を打って政府に注文を突き付けてくる前に、全面解除を発表することにこだわったという。

 首相とかねて気脈を通じる神奈川県の黒岩祐治知事が報道番組で、「(政府への再延長要請を巡る)知事同士の協議で、小池氏が事実と違う説明をした」と内幕を明かす“援護射撃”をしたこともあってか、結果として小池氏は動かなかった。自民の中堅議員は「結局、宣言は最後まで首相と小池氏の駆け引きに使われた面がある」とため息をついた。 (東京支社取材班)

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