コロナ下の就活 ウェブ面接上手に使って

 来年春に卒業する大学生・大学院生の就職活動が本格化している。新型コロナウイルスの影響下での就活は2年目だ。

 オンラインによる非対面のウェブ面接が新様式として定着しつつあり、地理的ハンディがある地方の学生や企業の選択肢を広げている。積極的に活用し、よい結果につなげてほしい。

 社会全体として大切なのは、第2の「就職氷河期世代」を生み出さないことだ。

 コロナ禍で経済活動が落ち込む中で、政府は経済界に対し、中長期的な視点での積極採用に加え、卒業後3年以内の既卒者を新卒として扱うことや通年採用などを要請している。

 妥当な呼び掛けである。各企業には、現在の就活適齢期の若者たちが後々、不遇な「コロナ世代」と呼ばれることのないよう、協力を求めたい。

 それでも、業績悪化や先行き不透明感から、採用の見送りや絞り込みを決めた企業は少なくない。九州の就職先として高い人気のあるJR九州が人件費削減のために定期採用を見送るのが、その代表例だ。コロナ禍に直撃された運輸、行業界で特に採用抑制の動きが目立つ。

 経営上はやむを得ない判断とはいえ、志望する業界から門戸を閉ざされた学生の無念は察するに余りある。経営者は重く受け止めるべきだ。

 他方、タクシー大手の第一交通産業(北九州市)のように人材確保の好機とみて採用拡大に出る動きがあるのは心強い。IT関連企業も採用に意欲的で、企業から学生に接触を図るケースも増えているようだ。

 コロナ禍の収束後、日本経済が元の姿に戻るとは限らない。むしろ、これを機に産業構造の変化が進むと見た方がいいかもしれない。学生は視野を広げ、魅力的な企業ややりがいのある仕事を探してほしい。

 ここ数年「売り手市場」が続いてきた就活は一変した。今春卒業の学生の就活は1年前の緊急事態宣言と重なり、就職内定率は低く推移した。幸い来春卒業の学生のそれは前年を上回っている。ウェブ面接だけで内定を出す企業が増えたのが一因だろう。3月1日時点で既に5人に1人が内定や内々定を得ているとのデータもある。

 これは、3月1日企業説明会解禁、6月1日選考開始、10月1日内定解禁とのルールが有名無実化している証拠だ。ルールを守らない企業が増えたため経団連が手を引き、昨年からは政府がこの日程の順守を呼び掛けているが、拘束力はない。

 採用活動が前倒しされる流れが止まらない。就活が早まれば学業への影響も大きい。産学官で対応策を検討してほしい。

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