九大、タイに海洋プラ研究拠点 21年度中開設

 九州大は新年度、世界中に汚染が広がる海洋プラスチックごみ(プラごみ)の研究拠点をタイの首都バンコクに開設する。東南アジアは世界中で投棄される廃プラスチックの3割を排出する「一大発生源」。そこから大量のプラごみが海に流出しているとみられる。九大の新拠点は周辺海域を広く継続的に調査し、域内の各国政府に対策を提言するほか、知見を蓄積して世界のプラごみ問題の解決を先導することを目指す。

 新拠点は九大応用力学研究所の磯辺篤彦教授(海洋物理学)が中心となり、2021年度中に運用を始める予定。磯辺教授は16年、大きさ5ミリ以下に砕けたマイクロプラスチックごみが南極海にあることを世界で初めて発表するなど海洋プラごみ研究の第一人者だ。

 磯辺教授ら九大の研究チームは20年度、日本やタイの他大学や研究機関と連携し、5カ年計画でタイのプラごみの研究を開始。タイ湾や周辺海域に漂う量や流入経路、生物への影響を分析。対策をまとめてタイ政府へ提出する予定だ。

 新たな研究拠点は調査範囲を東南アジア周辺の南シナ海やインド洋に拡大。九大の環境毒性学や高分子科学などの研究者が新たに加わるほか、国内外から常勤の研究者を複数採用し、現状分析や将来にわたる汚染状況の緻密な予測などを行う。調査結果を基に逐次、域内の各国政府に中長期的な政策を提言するほか、アフリカや南米など他の「発生源」の国にも提言を行っていくという。

 磯辺教授によると、世界では年間約3千万トンの廃プラスチックが投棄され、うち115万~241万トンが海に流出しているとみられる。マイクロプラごみは北極海などでも確認され、季節によっては魚介類の成長に悪影響を及ぼす量が浮遊する海域もあるという。

 海洋プラごみを巡っては、19年に大阪市で開かれた20カ国・地域首脳会議(G20サミット)で50年までに新たな海洋汚染ゼロを目指す「大阪ブルー・オーシャン・ビジョン」が採択されるなど世界的な課題になっている。磯辺教授は「東南アジアはプラごみ問題の最前線。ここで効果的な対策を実行できれば世界の海洋ごみの削減につながる。世界をリードする研究拠点にしたい」と話した。(田中良治)

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