「総選挙の先頭に」決意裏腹…足元揺らぐ首相

 自民党は21日、2年ぶりとなる党大会を東京都内のホテルで開き、新型コロナウイルス感染症を克服し、次期衆院選で必勝を期すなどとした2021年運動方針を採択した。菅義偉首相(党総裁)は「どんなに遅くとも秋までには総選挙がある。私はその先頭に立って戦い抜く決意だ」と表明。ただ、総務省接待問題などの不祥事は後を絶たず、地方選挙では敗北も続き、政権の足元には不安感も漂う。 (郷達也、森井徹、河合仁志)

 春の嵐となったこの日午後、首相は総裁として初めて迎える党大会の演説に臨んだ。

 「新型コロナとの闘いの中で政治空白は許されない、その覚悟で今日までひたすらに走り続けてきた。政府、与党の力を結集し、このコロナの難局を何としても乗り越えたい」

 こうリーダーシップを強調し、防疫対策、経済成長の要と位置付ける「グリーン」「デジタル」、4月に予定する訪米と、就任半年間の「成果」を列挙した。

 約15分間の中で、最も声に高揚感がにじんだのは最終盤。「今年は選挙の年。先人が築き上げた古き良き日本の伝統を守り、次の世代に引き継ぐことができるのは、皆さん、私たち自由民主党じゃないでしょうか」と、衆院選へ結束を呼び掛けた場面だった。

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 コロナ対応で「後手」批判を受け、一時は急落した内閣支持率だが、共同通信社の最新世論調査では42・1%と盛り返し、不支持率を上回った。二階俊博幹事長の報告によると、自民党員数も前年から約5万人増えて約113万人となり、12年の政権奪還後で最多に。党大会前にあった全国幹事長会議では、首相と初当選同期の佐藤勉総務会長が「菅政権の真骨頂はまさにこれから」と後押しした。

 ところが、最近の地方選挙で自民は芳しくない。

 1月の北九州市議選では現職6人が落選の憂き目を見、2月の大分市議選も現職3人が涙をのんだ。緊急事態宣言中の、与党議員による銀座クラブ会食など不祥事の逆風が直撃したとみられる。党大会のこの日、投開票された千葉県知事選の自民推薦候補も、初当選を決めた野党系候補の後塵(こうじん)を拝した。4月25日には、参院長野選挙区補欠選挙、参院広島選挙区再選挙など衆参の国政3選挙が控え、なかなか好転しないムードに党内の焦りが深まる。その先に、衆院選が待つ。

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 他党議員と一緒に写真に写ったポスターは貼付しないこと-。3月4日、二階氏と山口泰明選対委員長の連名による通知が、党衆院議員に出された。「選挙協力する公明党頼りにならず、まず自分でしっかり足場を固めよという指令」(選対関係者)だった。

 次期衆院選において、小選挙区で連続2回以上敗れ、比例代表で復活した議員の重複立候補を原則として認めないとしたのも、同じ文脈だ。国政選挙6連勝の安倍晋三前総裁下で追い風を受けて当選した「安倍チルドレン」も多く、閣僚経験者は「彼らは一陣の逆風が吹けば散る」と警鐘を鳴らす。

 ウイルスのリバウンド(感染再拡大)の恐れ、東京五輪・パラリンピックの行方と、今後も政権の消長を左右するリスク局面が続く。そんな中、来るべき決戦に備えて首相ではなく、発信力が高い河野太郎行政改革担当相とのツーショットポスターを既に作った若手衆院議員もいる。任期満了に伴う9月の党総裁選での再選も期す首相だが、無派閥のため党内基盤は弱い。衆院ベテランは「首相が対応を大きく誤ったり、選挙の顔にふさわしくないと見なされたりすれば不満が一気に爆発し、後見人の二階氏らも黙っちゃいない。総裁候補は他にいくらでもいる」とつぶやく。

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