「再建支援の対象外」被災者、理由分からず不満

 災害で家が壊れた世帯に支援金を支給する「被災者生活再建支援制度」から漏れた被災者の不満が募っている。関連法が昨年12月に改正され、対象外だった「半壊」家屋も損壊が大きければ支援を受けられるようになった。だが、被害認定の過程は明瞭とは言えず、再調査を受ける機会も十分に担保されていない。被災者支援の根幹となる制度だけに、さらなる改善を求める声は根強い。

 改正前の被災者生活再建支援法は、支給対象を「全壊」や「大規模半壊」などの世帯に限り、住まいの再建方法に応じて総額100万~300万円を給付していた。改正後は従来の「半壊」(損壊割合20~40%未満)を二つに分け、20%台は「半壊」、30%台は「中規模半壊」に区分。中規模半壊は修理費など25万~100万円の支援を受けられるようになった。

 改正法は昨年7月の豪雨で被災した熊本県や福岡県などの54市町村にもさかのぼり適用。半壊約3700世帯のうち、中規模半壊は500~千世帯程度と国は見込む。市町村は被害認定調査を確認し直すなどして該当世帯に通知している。

 ただ、被害認定の過程は被災者には見えにくい。「なぜうちが外れたのか市はちゃんと説明してほしい」。福岡県大牟田市の50代女性は憤る。豪雨で床上50センチまで浸水した一軒家は半壊のままで、中規模半壊にはならなかった。

 家の内壁は崩れ、床板は抜けたまま。土地の売却や新築のために自宅の解体も考えたが、昨秋、修理して住み直すことを決めた。修理に最低500万円はかかる。非正規社員で年収は100万円ほど。家族の収入を合わせても厳しい金額だ。中規模半壊なら修理費50万円が受け取ることができ、大きな頼みとなるはずだった。

 自宅を見た災害支援関係者から「半壊でもひどい方だ」と言われていた。諦めきれず昨年末に大牟田市に対象外の理由を電話で問うと、職員から思わぬ言葉が返ってきた。「情報公開請求が必要です」。なじみのない手続きに困惑し、「請求したら役所ににらまれ他の支援も受けられなくなるかも」と疑心暗鬼になり、何もできていない。

 制度上は不服があれば自治体から説明や被害の再調査を受けることができる。

 だが同市は被害認定の根拠となる調査資料は「行政の業務で知り得た情報」とし、閲覧するには、開示に10日ほどかかることもある情報公開請求を求める。再調査も積極的に周知することはないという。市内で1135件の半壊のうち、市は759件を中規模半壊と認定(2月24日現在)。再調査は3件にとどまる。

 一方、同じく豪雨で被災した熊本県人吉市。中規模半壊を巡る不服申し立てはまだないが、求めがあれば調査結果を参照して市側が説明するという。担当者は「行政には説明責任がある」と話す。

 自治体で対応が異なるのは、不服申し立てに関し国が明確な指針を定めていないことも一因とされる。それでも内閣府は「あくまで制度運用の責任は都道府県にあって、対応が不十分な市町村に対しては助言してもらうしかない」とする。

(大坪拓也)

被災者の立場で制度運用を

 室崎益輝・兵庫県立大大学院教授(防災計画)の話 自力再建が困難な人を十分に救えない制度の課題は残ったままだ。自治体は被災者の立場で制度を運用し、制度の隙間を独自支援で埋めるべきだ。国も明確に促す必要がある。形式的基準で被害認定するのではなく、被災者の状況に応じて支援できるよう制度を根本的に見直す時期にきている。

 【ワードボックス】被災者生活再建支援法 阪神大震災をきっかけに1998年に議員立法で成立。全国知事会は「半壊」までを対象にするよう法改正を求めてきたが、半壊の区分を分け、「中規模半壊」を新設する形となった。被害認定は自治体が担い、壁や柱といった各部位の損壊具合などを調査。法律は「全壊が10世帯以上の市町村」などの要件を満たした自治体に適用。財源は47都道府県が拠出する基金と、国で折半する。

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