母「全部うそだった」…“支配”解明の捜査11ヵ月

 福岡県篠栗町で5歳の男児が餓死した事件。福岡地検は、母親の碇(いかり)利恵被告だけでなく、知人の赤堀恵美子被告も保護責任者遺棄致死罪で起訴した。保護者ではない第三者を同罪で立件するのは異例。11カ月間にわたり捜査を続けた福岡県警は、保護者と同等の刑事責任を問うため、碇被告への「支配」の実態解明に力点を置いた。

保護責任者遺棄致死罪、異例の第三者立件

 県警は、碇被告の一家が生活保護を受けながら、三男の翔士郎ちゃんが餓死するほど困窮した点に目を向けた。押収したスマートフォンのやりとりや聞き込みなどから、赤堀被告が頻繁に碇被告宅を訪れ、現金を受け取っていた状況などを把握していった。

 捜査関係者などによると、碇被告は、赤堀被告から「ママ友から裁判を起こされている」などと言われ、裁判費用などの名目で現金を渡していたという。翔士郎ちゃんの死後も赤堀被告を信じ続けていた碇被告に対し、捜査員は昨年6月、「お金は赤堀被告のところで止まっていたんじゃないか」と告げた。

 碇被告は関係を絶っていたママ友らと会うなどし、裁判が架空だったと知った。赤堀被告が「ボス」と呼ぶ女性から、家を監視カメラで見張られているという話も虚偽と気付いた。「カメラさえなければ、翔ちゃんにご飯を食べさせたのに。全部うそだった」とショックを受けていたという。

 県警は昨年末から、碇被告から生活費をだまし取ったとする詐欺容疑で、赤堀被告を3度逮捕。捜査幹部は「なぜ生活できなくなるまで金を渡したのか、徹底的に解明する必要があった」と強調する。

 赤堀被告は起訴内容を一貫して否認。検察側は裁判員裁判で、碇被告の供述を軸に赤堀被告の主導的な関与を立証するとみられる。

 「毎晩のように翔ちゃんの夢を見ます」。関係者によると、碇被告は逮捕後、涙ながらに後悔を口にしたという。

(山口新太郎、田中早紀)

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