ラジオ制作、まちづくり…「福岡が好きすぎて」大忙しの九大生

シン・フクオカ人 #27

 〈幼い頃の経験は、知らず知らずのうちに自分の根っこをつくっている〉

 清原透子(21)は福岡市で生まれ育った。4月から九州大学共創学部4年生になるのと同時に、地元のラジオ局「ラブエフエム」で、学部の友人たちと一緒に番組を制作する。

 タイトルは「ケロケロ見聞録」。“井の中の蛙”である大学生が社会人の先輩を招いて学び、世の中の在り方を議論する。

 共創学部は、新たな産業の創出に向けて、専門分野を超えて人々を束ねられる人材を育成しようと、2018年に開設された。その1期生で、最初の卒業生になる。

 学んできたのは、「好き過ぎてたまらない福岡」のまちづくり。どうすれば人と人を結び付けて組織を動かしていけるか、に興味津々だ。番組でもそれを掘り下げたいと思う。

ラブエフエムで番組収録中の清原透子さん

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 高校2年の頃、学生ボランティアグループが主催した模擬市長選挙で、「福岡市長」に当選した。授業でベンチャー起業家らの話を聞き、自分にもできることがあるのでは、と刺激を受けたのが“出馬”のきっかけだった。

 立候補演説のテーマは「一気に日本を楽しめる街 福岡」。外国人観光客が出入国する福岡から、九州や日本の魅力を発信する仕掛けをつくろうと訴えた。

 大学での活動はめまぐるしい。地域と学生をつなぐサークルの副代表として、途絶えていた地元名物の栗まんじゅうを、一日限定で復活させた。人々が「懐かしい」と買い求め、午前中で完売した。

 住民からレシピを教えてもらったり、老舗菓子店に保管されていたまんじゅうの型を借りたり…その触れ合いが楽しく、喜んでもらえたことで充実感を味わった。

 タイや韓国への短期留学も経験し、英単語帳の出版に携わった。入試ではなく留学に必要な単語を一冊にまとめたことで、高い評価を受けた。ただ、製作スタッフの役割分担が難しく、みんなの満足度が高くなかったのではないかと反省している。

 「誰もがより楽しく関われる組織にしないと。まちづくりも同じ。だから組織マネジメントを研究しています」

模擬市長選に立候補して当選した清原透子さん(高校2年当時)

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 組織論に関心があるのは、小学6年から高校2年まで続けた「ハンドベル」が原点かもしれない。

 13人で6オクターブの音を協奏するため、一人でも欠けると美しいメロディーは奏でられない。協奏と共創、どちらも人と人のつながりが新しいものを生み出す。まちづくりにもつながるのだと思う。

 弁が立つのは父の影響だ。小学生の頃から「どう思う?」と聞かれて、意見を言うと論破された。挑み続けて中学生になった頃、自分の意見を認めてくれた。うれしそうに笑う父と、見守ってくれていた母の顔が忘れられない。

 この春、東京の大学に進学した妹から「ありがとう。尊敬しています」と手紙をもらった。思わず泣けた。でも「尊敬」されるにはまだ早い。これから就職活動も始まるが、ずっと福岡にいると「ぬるま湯」に浸ってしまう気もする。

 「就職して、新しい自分に会いたい。強くなって戻ってきて、福岡の未来をみんなと創りたい」

=文中敬称略(加茂川雅仁)

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