北朝鮮の短距離弾道ミサイル黙認か否か バイデン政権の試金石に

 北朝鮮が約1年ぶりに弾道ミサイルを発射したのは、バイデン米政権の出方を探る狙いがあるとみられる。使用したのはトランプ前大統領が米本土に届かないため問題視しなかった短距離弾道ミサイルだが、新政権も国連安全保障理事会決議に反する挑発を黙認すれば、国際協調や日米韓の安全保障協力を重視する新政権の基本理念を踏み外しかねない。米側の次の一手は新たな対北朝鮮政策の試金石になりそうだ。

 北朝鮮は21日にも、中部の平安南道・温泉から巡航ミサイルと推定される2発を発射。米韓政府が「国連決議に違反する弾道ミサイルでない」(米政府高官)として静観姿勢を示すと、短距離弾道ミサイルを発射して挑発の度合いを強めた。

 一方で、米本土を射程に入れる大陸間弾道ミサイル(ICBM)の発射は2017年11月から自制している。トランプ氏がICBMさえ発射しなければ、同盟国の日本と韓国が射程に入る近距離弾道ミサイルを発射しても問題視しなかったためとみられる。日米韓の安保協力体制にくさびを打ち込みたい北朝鮮にとっては、都合のいい前例を残す形となっている。

 韓国軍は、北朝鮮が21日に巡航ミサイルを発射した事実を国外メディアが報じるまで公表しなかった。北朝鮮の挑発を安保上の重大な危機ととらえる日本と、南北関係の悪化を避けたい韓国政府とは、制裁などを巡る考え方にも温度差がある。北朝鮮は今後、悪化した日韓関係の行方もにらみながら、揺さぶりを強める可能性がある。

 金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党総書記は1月の党大会で、ICBMの改良や戦術核の開発を表明。1月に発足したバイデン政権は2月中旬から北朝鮮との接触を試みたが、北朝鮮は拒否している。非核化を巡る米朝対話再開の見通しは立っておらず、北朝鮮は兵器実験を本格化させるとの見方もある。 (ソウル池田郷)

関連記事

PR

国際 アクセスランキング

PR