『2020年のゲーム・キッズ→その先の未来』 渡辺浩弐著

 ショートショートのSF小説シリーズの最新刊。収録された16編には、感染症パンデミック後の世界観が通底する。それはパニックSFではなく、発達した情報通信技術による管理や監視が行き渡り、人々がかえって生きづらさを抱えるようになった社会を描いた「ディストピア小説」と表現した方が似つかわしい世界観だ。「結婚式まで会ったことがない完全オンライン恋愛の男女」(収録作「盛りガール」)など、現在進行形でもありそうな設定が多く、リアルな近未来の話として読んだ。

 筆者による後書きにこうある。

 <新型コロナ禍によって文明の進化は停滞するどころか、加速しています。ただそのベクトルは大きく変化し、従来のSFが予想したところとはかなりずれた方向に進み始めたようです>

 コロナ禍も既に1年。私たちは新たなベクトル=ディストピアの世界を漂流している。(内門博)

 (星海社、1485円)

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