コロナ禍1年「対面ゼロ」 学生、遠隔の質も不満

 九州の各大学が2021年度前期から対面授業の本格再開を見据える中、西日本新聞「あなたの特命取材班」には「新型コロナウイルス感染拡大の影響でこの1年間、対面授業が1こまもなかった」などと落胆する学生の声が多く寄せられた。再開を期待する一方、学生がキャンパスに集うことで感染リスクが高まる懸念もある。遠隔授業の内容改善を求める声も強い。

 約2万人が在籍する福岡大。工学部2年の男子学生(20)は「教科書の購入など、数回しか大学に行けなかった」と、対面授業がゼロだったこれまでを振り返る。ラジオを作る授業では工具が入ったキットが自宅に届き、動画を見ながら作った。

 リアルタイムの遠隔授業でも、教授が自身の映る画面をオフに。「一方通行で質問もできない」。時間に関係なく受講できるオンデマンド型の講義は「後でやろう」となり、生活は夜型になった。「やる気のスイッチが入りにくかった。小中高校は再開しているのに、大学生だけが取り残された感じがする」と明かす。

 福岡大は、21年度前期は「対面が原則」と説明する。男子学生は「やっと大学に行ける」と声を弾ませる。

 一方、感染への不安を訴える声も届いた。「体調が悪い学生を追い出すことはできず、一緒に授業を受けないといけない。自分はコロナにかかりたくない」

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 本紙が実施した各大学へのアンケートでは、遠隔授業の比率について、学生が納得しているか尋ねた。多くは「大多数が納得している」と回答。九州大は「おおむね遠隔授業の受けとめられ方は良好」。西南学院大は「全面遠隔だった前期と比べ、後期は大幅に満足度がアップした」とする。

 ただ、遠隔授業の内容には不満の声も。福岡県内の私立大3年の男子学生(21)は「ビデオ会議アプリを使った双方向型は一回もなく、資料を基にリポートの提出を課せられることが多かった」と話す。

 教員の熱意や通信技術への知識によって、内容に格差があるとも感じる。「何のために大学で学ぶのか。遠隔でもリアルな講義をしてほしい」と訴えた。

 九州大は、大学生活に慣れていない1年生を優先し、対面授業を実施してきた。同大2年の女子学生(20)は「他の学年がないがしろになっている」とこぼす。3年生になる4月からも「遠隔が基本」と連絡があった。通う学部は卒業までに留学が義務付けられているが、今はコロナ禍。見通しが立たない。

 「3年はゼミや卒業研究が始まる重要な時期。先生との関係づくりを考えても、できれば講義全部を対面にしてほしい」。思い描いたキャンパスライフが戻る日を待ち望んでいる。 (金沢皓介、斉藤幸奈)

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