デジタル教科書 導入までに課題の解消を

 パソコンやタブレット型の情報端末を活用したデジタル教科書の在り方に関する文部科学省の有識者会議が、2024年度からの本格導入の検討を盛り込んだ中間提言をまとめた。文科省は21年度から実証事業に着手するという。

 社会の隅々までデジタル化の波が押し寄せている。教科書の電子化も時代の流れとは言えよう。とはいえ、学びの姿は激変することになる。本格導入に向け、慎重な準備が必要なことは言うまでもない。

 確かに、デジタル教科書には多くの利点がある。端末画面に直接書き込み・消去が可能で、利便性が極めて高い。動画や音声など多様なデジタル教材と連携することで、児童生徒の理解が深まることも期待される。

 インターネットを使った学校外での学びも容易になる。文章の音読機能や拡大表示は障害児の学習の手助けにもなる。何より、子どもたちは情報通信技術(ICT)を活用するマインドを自然に身に付けるだろう。

 一方、成長途上の児童生徒が長時間、端末画面を直視することになる。視力に悪影響を及ぼさないか。文科省には、利便性や効率だけでなく、心身の健康面への影響も含めた多角的な検討を望みたい。

 デジタル教科書は19年度から学校現場で正式に使えるようになっている。教科書発行会社はデジタル化を積極的に進めているが、実際に使用しているのは20年3月時点で公立小中高の1割以下にとどまる。

 まずは必要十分な端末をそろえねばならない。

 文科省は児童生徒に1人1台の端末配備と高速大容量の通信ネットワークを整備する構想を進めてきた。新型コロナ禍で前倒しされ、大半の小中学校で今春、1人1台が実現するが、九州も含め配備が遅れている自治体があるという。

 多くの教員にはICTを駆使する指導はなじみが薄い。デジタル教科書の利点を最大限生かせるよう、教員の指導力を研修などで高める必要がある。

 自治体は教員の研修や端末などのトラブルに対応するICT支援員の確保を急いでほしい。国は目標の「4校に1人の支援員」を実現するため、財政的支援の拡充も検討すべきだ。

 デジタル教科書はネット接続で効果を発揮する。自宅での予習復習に支障が生じぬよう、家庭の通信環境への配慮も欠かせない。教科書を使った基本的学習が、居住地域や家庭の経済力に左右されてはならない。

 昨年来、コロナ感染対策のオンライン授業の実施で、地域によって格差が生じたことを教訓としたい。

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