福島励ます「がんばらやんばい」 体験談が教材に

 「がんばらやんばい」。東日本大震災の直後、被災地支援に携わった福岡県久留米市の職員が住民に掛けた温かいひと言。その言葉を題材にした物語が、福島県教育委員会の小学生向け道徳教材として活用されている。震災から10年。福島の子どもたちは悲しみの記憶だけでなく、思いやりや感謝の気持ちを忘れないよう、心に刻み続けている。 (平峰麻由)

 福島県教委は、震災を通して命の尊さや人とのつながり、郷土愛や自然の驚異を伝えようと、独自教材「ふくしま道徳教育資料集」を全3集作成した。久留米市職員のエピソードは「第2集 敬愛・つながる思い」の小学校編に掲載されている。

 主人公の「ぼく」は、住む町が地震で断水し、毎日水くみに行く生活を送っていた。ある日、父親と兄と3人で近くの集会所に行くと見慣れない給水車があった。職員の制服や車体に「久留米市水道局」の文字を見つけ、驚いた父親が「(遠くから)大変でしたね」と声を掛けると、「いやいや、ざっとなかは、みなさんばい(大変なのはみなさんですよ)。がんばらやんばい」と励ましてくれた。帰宅後、久留米市が福島からとても遠いことを知った「ぼく」は、その場で言えなかったお礼を伝えるため、明日も水くみに行こうと誓う-という物語だ。

 教材作成に携わった渡辺真魚(まお)・日大工学部准教授は「市民の体験の聞き取りや、新聞やテレビで集めた情報を基に作った」という。

 厚生労働省によると、震災では福島を含む22都道県で少なくとも約256万7千戸が断水し、全国から給水車が被災地へ向かった。久留米市からは震災発生の2日後に、職員10人が給水車など計4台に分乗し、姉妹都市の福島県郡山市に出発した。派遣された若島洋佑さん(43)は「高速道を使い約30時間かかった。福島弁で感謝されたのを覚えている」と懐かしむ。4日間ほど滞在して久留米に戻った後、市役所にお礼の手紙が数通届いたという。

 福島県教委義務教育課の西牧泰彦主幹は「震災後に生まれた子どもが年々増えてゆく。多大な支援を受けた事実を風化させないよう伝えたい」と話した。

 今年も3月11日、同県白河市の表郷小3年の授業で「がんばらやんばい」が使われた。子どもたちは遠く九州から水が運ばれたことに驚き、感想文にこうつづった。「どこかで災害が起きたときは、自分たちができることをして助けてあげたい」

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