ラインの情報管理 利用者の不安を解消せよ

 国内で8600万人が利用する通信アプリLINE(ライン)で情報管理に不備があったことが発覚した。政府や福岡市などの自治体でもLINEを活用した行政サービスが普及しており、懸念が広がっている。

 各種サービスを提供する事業者が利用者から集めた個人情報やデータは、適切に管理されることが不可欠だ。全ての事業者はこれを肝に銘じてほしい。

 LINEによると、国内のサーバーに保管された利用者の名前、電話番号、メールアドレスなどが中国国内で閲覧できる状態で運営されていた。ソフト開発などの業務を委託した関連会社の技術者に閲覧の権限を与えていたという。

 中国には、国家の要請があれば事業者に情報提供を義務付ける国家情報法がある。当局に情報が渡る恐れがあったことは否定できない。LINEは今回に関連し情報漏えいは確認していないという。それでも、個人情報が流出のリスクにさらされていたのは見逃せない問題だ。

 情報管理の甘さは他にもあった。国内の利用者同士がメッセージをやりとりする「トーク」に投稿された画像や動画、スマートフォン決済「LINEペイ」の決済情報などが、親会社があった韓国内のデータセンターで保管されていた。

 現行法制度では、利用者の同意があれば、個人情報を第三者に提供したり国外に持ち出したりできる。国外でのデータ保管が直ちに問題なわけではない。LINEは利用規約に第三国にデータを移転することがあるとは記載していたが、移転先までは明示していなかった。これでは十分な説明とはなるまい。

 LINEの出沢剛社長は記者会見で「ユーザーの信頼を裏切ることになった」と陳謝し、中国から利用者情報へのアクセスを遮断した。韓国にある各種データも順次国内に移管する計画だ。利用者の不安解消を優先した妥当な判断だろう。

 既にLINEは、国や自治体が災害や新型コロナウイルス感染の対策などに幅広く活用する社会インフラだといえる。今回の問題を受け、利用を見直す動きが広がり、住民サービスにも影響が出ていることをLINEは重く受け止めるべきだ。個人情報保護委員会金融庁、総務省などの調査にも誠実に応じてほしい。

 個人情報の管理は経済と社会全体に関わるテーマである。金融、信販、情報通信といった業界は膨大な顧客データを保有する。行政にも大量の個人データがある。各種データの活用は社会を豊かで便利にするための手段であり、事業者への信頼が前提になることは明らかだ。

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