抗えぬ世の流れ、愛煙家の「楽園」国会のいま

東京ウオッチ

 今、国会に逆風が吹き荒れている。といっても新型コロナウイルス対応や閣僚、官僚の接待問題、相次ぐ法案ミスで菅義偉政権に向けられる批判、の話ではない。喫煙への向かい風だ。たばこの受動喫煙対策の強化へ向け、2020年4月に改正健康増進法が全面施行されたにもかかわらず、国会の規制は緩やかなものにとどまり、喫煙スペースが多い。愛煙家にとっては「楽園」なのだが、コロナ禍の思わぬ余波に加え国会議員によるルール破りも問題視され、様相が一変しつつある。加熱式たばこアイコス」の愛用者である筆者が、現状を報告する。

「ぼっちたばこ」の場と化した「社交場」

 3月の昼下がり。国権の最高機関である国会内でこんなやりとりが交わされていた。

 「ほんと、狭い。いやぁ~肩身も狭くなった」

 「ほんと、たばこを吸う自由がなくなったなぁ…」

 ひそひそ声の主は与野党の国会議員たち。場所は、衆議院本会議場の入り口そばに2カ所あるブース型の「喫煙専用室」だ。議員だけでなく、秘書や政党職員、記者ら愛煙家の安息の場所だったが、2月に入って異変が起きていた。

 もともと、この喫煙ブースは1カ所で4人が同時に一服できたが、内部の天井から耐火素材の間仕切りがつり下げられたことにより、2人しか同時に入れなくなったのだ。

コロナ対策の間仕切りが設置された「喫煙専用室」の内部

 間仕切りには「感染拡大防止のため、こちらの区画は1名でご利用ください」との張り紙が。コロナ対策の基本中の「き」である「3密」を避ける措置であり、飲食店での飛沫ひまつの拡散を防ぐアクリル板の喫煙所バージョンと言える。

 私は国会内の記者クラブを取材拠点にしていた一時期、このブースに大変お世話になった一人である。ちょっと一息入れたいとき、長文の原稿を推敲すいこうするとき、ぷかぷか、ぷかり…。議員や秘書たちと情報交換し、取材のヒントをもらう貴重な「社交場」でもあった。

 それが、今では肩身の狭そうな愛煙家が一人ぽつねんとたばこを口に運びながら、無言でスマートフォンをいじっている。その背中は哀愁すら帯びる。

「あれがきっかけだよ。あれ…」。ある議員は肩をすぼめた。

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