退学し見つけた歩き方 「学校つくる」夢へ進学

 長崎県の高校を退学した坂(ばん)健介さん(18)が1日、京都の私立大の入学式に臨む。進学校の画一的教育スタイルに適応できず“離脱”し、自分の歩き方を見つけた。「将来の選択肢を自由に考え、選ぶことができる学校をつくりたい」。大きな目標を見据える。新年度、多くの人が新たな一歩を踏み出す。

 「次々とやっても、頭に残らない…」。全日制公立高に入った途端、授業のスピード、宿題の量に圧倒された。小テストで不正解だと居残りで勉強。解き方が分からなければ、「努力が足りない」「やる気がないなら辞めろ」と責められた。

 焦るほどに強まる劣等感。定期テストの順位は当初から最下位付近にとどまった。

 夏休みの勉強合宿は嫌でしようがなかった。窓に新聞紙を貼った部屋で早朝から深夜まで「自習」をさせられる。教員の目を盗み、机に突っ伏して寝るのが精いっぱいの抵抗だ。

 ただ高得点を取るために時間と労力を費やし、休むことも許されない。高2の秋、授業中にふと思った。「一体、俺は何をしているんだろう」

 通っていた塾の経営者の佐々木大(だい)さん(57)は、心に浮かんだ言葉を紙に書き出すよう助言した。「勉強はどこでもできる」「後悔しないか」…。どこでつまずき、何に悩んでいたのか見えてきた。

 決意を告げた時、教員は「宿題をやらなくても許してあげるから」と言った。転校先に決めていた通信制高には否定的だった。怒りが込み上げ、紙に記した。「先生を信用できない」。1週間で結論を出した。

 自分でスケジュールを決め、興味のあることをした。不登校の児童や生徒、障害がある10代などさまざまな背景の人が集う市民団体主催のキャンプに参加。昨年夏には豪雨被害に遭った大分県日田市で1週間、住居の後片付けを手伝った。被災した館に泊めてもらった。温かさに触れた。

 「学校で習ったことは、ここでは何も通用しない」。テストの順位を気にすることがちっぽけに思えた。

 志望大の受験では解けない問題も多かった。合格はしたが「ぎりぎりだったはず。甘さを痛感した」。結果は退学した高校にも出向いて報告。「辞める時は『見返してやる』と思ったけど、ばかばかしくなった」。振り返ると、自分がお世話になった、と思える。少し、成長したのかもしれない。

 小学校の教員免許と日本語学校の教員資格を取得して、海外の学校にも行きたい。一方的な評価ではなく、認めることでいい点を伸ばす。できないことを責めずに得意なことを見つめる-。いつか、そんな学校をつくりたい。 (四宮淳平)

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