大阪急変、焦った官邸…「まん延防止」初適用へ

 「第4波」の様相を呈し始めている新型コロナウイルス感染症の再拡大を受けて31日、大阪府に対し初めて、緊急事態宣言に準じる「まん延防止等重点措置」が適用される方向となった。大阪府の宣言が2月末で解除されてから、1カ月での“黄信号”。感染力が強いとされる変異株と、大都市特有の人流の増加が相まってリバウンドを急加速させたとみられており、福岡・九州も「対岸の火事」とは言えない。

 この日、大阪府では前日30日の約1・4倍に上る599人の新規感染者が確認された。吉村洋文知事がまん延防止措置を要請したことを踏まえ、夜に官邸で記者団の取材に応じた菅義偉首相は「1日に会議を開いて、そこにかけることを決定した」と話し、応じる意向をにじませた。

 大阪の感染者は3月24日には1カ月半ぶりに200人を突破、一気に269人となっていた。緊急事態宣言の解除後も、飲食店に対する営業時間短縮要請を続けていた効果が表れず、政府高官は「悪化のスピードが早過ぎる」と焦りを募らせた。それからわずか1週間での599人という数字に、官邸内にもギアを切り替えざるを得ないとの覚悟が強まった。

      ■

 大阪が極端な上昇カーブを描いた要因について、政府の感染症対策分科会の尾身茂会長は31日の衆院厚生労働委員会で「春休みの影響もあって10代を含めた比較的若い年齢層の人が、コンパのような行事をして感染が急速に拡大したことはほぼ間違いない」と答弁した。もともと大阪府や兵庫県で、変異株ウイルスの感染者の割合が高いと指摘されていたことも無関係ではないとされる。

 政府は、4月から高齢者対象の接種が始まるワクチンを切り札と見なしているが、「第4波」への防波堤としては限定的との研究もある。

 筑波大の倉橋節也教授は3月25日、ワクチン接種の効果が表れるのは7月以降となるため、「過度に期待することは危険」と注意喚起。毎日、東京都の高齢者に1%のペースで接種を続けていったとしても、5月中旬のピーク時には都内で1日1540人の新規感染者が出る、とのシミュレーション結果を公表した。

 感染症の専門家の見解は「リバウンドの予兆を早期に探知し、時機を逸しないよう先手を打って対策に集中することが重要」でほぼ一致する。すなわち、(1)飲食店の時短とマスク会食などの感染対策(2)感染リスクが高いとされる場面の回避(3)テレワークの推進-などを徹底していくというものだ。

 福岡県の現状を見た場合、3月30日時点で、直近1週間の新規感染者数が前週の74%にとどまり、140%の全国とは一線を画している。変異株の割合も、スクリーニング検査で明らかな増加が認められているわけではない。

 とはいえ、昨年は首都圏などから数週間遅れのタイミングで「第3波」が九州に到来した。人口密度が高い上、大学などの教育機関が集積して若い世代の割合が大きい都市部は常に、リバウンドの脅威を抱える。政府は、福岡県内の繁華街や大学でも、モニタリング検査を継続していくとしている。 (河合仁志)

関連記事

福岡県の天気予報

PR

福岡 アクセスランキング

PR