コロナ禍「取り残される」サービス業 日銀短観、広がる業種格差

 日銀の3月短観は、新型コロナウイルスの感染拡大の影響が直撃するサービス業の悪化が際立った。大企業製造業の景況感はコロナ前の水準に急回復したものの、非製造業の飲食や宿泊などは長引く苦境から抜け出す兆しが見えない。そんな中、足元では感染「第4波」の到来や半導体不足などの懸念材料が多く、日本経済は景気の不透明感がなお強い。

 1日の東京株式市場。3月短観の結果が伝わると、「予想よりも強かった」(アナリスト)との受け止めが広がった。日経平均株価の上げ幅は一時、400円を超えた。政府が新型コロナ感染拡大に対応する「まん延防止等重点措置」の適用準備を進めていたものの、投資家心理は強気に傾いた。

 ただ、3月短観の内容を見ると、コロナ禍で広がった業種別の差が影を落とす。基幹産業の自動車は国内外の需要回復に支えられ大きく改善し、第5世代(5G)移動通信システム向けに電子部品の需要も伸びた。その一方、飲食や宿泊、レジャー施設などのサービス関連の業種は引き続き状況が厳しく、他の業種から「取り残されている」(日銀幹部)状況にある。

 先行きの見通しも、二極化の様相は変わりそうにない。コロナ禍の景気回復をけん引してきた大企業製造業の3カ月後の業況判断指数(DI)予測は、1ポイント下落と鈍化の傾向が表れた。しかし、大企業非製造業が横ばいで、プラスへの回復は見込めない。中でも、宿泊・飲食サービスはマイナス58と、極めて低い水準が続くと見られている。

 今回の短観は、約9500社のうち7割強が、3月12日までに日銀の調査に回答した。それ以降、自動車メーカーに半導体を供給する大手ルネサスエレクトロニクスの工場火災が19日に起こり、下旬からはコロナの感染再拡大に歯止めがかからなくなった。三菱UFJリサーチ&コンサルティングの丸山健太研究員は「企業の回答時期が遅かったら、今回の結果に比べて、先行きが悪化していた可能性は高い」と指摘する。

 実際、首都圏近郊の有名観光地は「第4波」に身構えている。温泉地の神奈川県箱根町は、通常なら3月は学生旅行などでにぎわう。ところが同町観光協会の担当者は「例年の半分にも届かない」と落胆する。

 新型コロナの流行が国内で始まって1年が経過した。政府や日銀の手厚い支援もあり、企業倒産などは抑制されてきた。「サービス業の長期的な不振は、雇用の悪化や所得の減少につながり、買い控えなどで製造業にも影響が出かねない」(エコノミスト)。政府や日銀には業種ごとの現状を細かく分析し、特に打撃が偏るところに支援を続けることが求められる。 (一ノ宮史成)

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