城は勇壮、足元で消えゆく城下町 熊本地震5年

 2016年4月の熊本地震で被災した熊本城が、天守閣の復旧を終えて勇壮な姿を取り戻しつつある一方で、お膝元の新町・古町地区(熊本市中央区)は急速に城下町らしさが失われている。伝統的な木造住宅「町屋」は被災して解体され、地震前からほぼ半減。マンションや駐車場に姿を変え、空き地も目立つ。風情ある街並みを残し、現存する町屋の活用を後押ししようと、市は対策に本腰を入れ始めた。

 「ここも、あそこも、何があった場所か分からない。お城は元に戻っているのに」。町屋があった空き地を見て、地元の元自治会長毛利秀士さん(78)はつぶやいた。

 新町・古町地区は、熊本城を築城した加藤清正が整備した。かつては問屋街。町屋は老朽化と住民の高齢化に伴い徐々に減り、熊本地震が追い打ちをかけた。「地域の空洞化にも拍車がかかった」。不動産賃貸業を営む西嶋公一さん(59)は公費解体がほぼ完了した18年4月から、1軒ずつ調査。住宅地図で空き家や空き地を赤く塗ったところ、半分近くが赤く染まった。

 市によると、15年に359棟あった新町・古町地区の町屋は、昨年5月時点で181棟。倒壊を免れても改修に費用がかさむため、公費解体を選んだ所有者が多いとみられる。

 地元の不動産業者によると、地震直後は復旧工事の関連業者が県内外から集まり、跡地を活用した駐車場の利用者も多かったが、工事が減り、駐車場は飽和状態という。一方、中心市街地にあり、利便性が高いことから地価も上昇、複数の空き地をまとめてマンション建設用地とする動きも相次いでいる。

 「消滅」を食い止め、歴史的な風情を生かした街づくりの可能性を探ろうと、市も動きだした。今年3月からは町屋の表側をショーウインドーに改装し、陳列した商品をオンラインで購入できる新たな店舗を設置したり、古い家財を販売する「蚤(のみ)の市」を開いたりするなど、町屋を活用した実証実験に取り組む。

 市は今月11日まで続け、その後は活用策について所有者の意向を調査する。担当課は「賃貸借のマッチングを促進させたい」としている。

 (長田健吾、松本紗菜子)

熊本県の天気予報

PR

熊本 アクセスランキング

PR