内部通報者に「つぶす」 脅した郵便局幹部ら7人処分

 郵便局内の不祥事を内部通報したと疑い、同僚の郵便局長らに役職辞任を迫ったり脅したりしたとして、日本郵便が福岡県の局長7人を停職などの懲戒処分にしていたことが同社関係者への取材で分かった。

 関係者によると、処分された局長は同県直方市や飯塚市など5市7町の郵便局でつくる「筑前東部地区連絡会」に所属。いずれも連絡会トップの統括局長や、部会長などの幹部職に就いていた。2人が停職、3人が減給、2人が戒告の処分を受けたという。

 端緒となったのは2018年、日本郵便本社の内部通報窓口に寄せられた情報。同社で勤務していた統括局長の息子の内規違反に関するものだった。これを知った統括局長は直方市の局長数人を通報者だと疑い、自局に1人ずつ呼び出して「俺の力があれば誰が通報したか必ず分かる」「犯人が局長やったら絶対につぶす」などと脅し、通報を認めるよう迫ったという。

 被害を受けた局長が19年3月、会議で「犯人捜しをされた」と訴えると、他の幹部局長らは「統括局長を中傷した」などの理由で繰り返し辞任を要求。1人は降格となり、2人はうつ状態などと診断され休職に追い込まれたという。この局長らは19年秋、18年当時の統括局長ら3人に損害賠償を求めて提訴し、福岡地裁で係争中。福岡県警は20年1月、同局長を強要未遂容疑で書類送検した。

 処分された局長の一人は取材に「コメントすることはない」と回答。日本郵便は「再発防止に努めるとともに、今般の事案に関しては今後、検証していく」とコメントした。

内部通報伝えられパワハラ行為に?

 日本郵政グループは今回の問題を重く見ており、内部通報制度の見直しを進めている。

 「福岡事案の影響により、社員の不信感や不安が払拭(ふっしょく)されていないにもかかわらず、抜本的な対策が講じられていない」。かんぽ生命保険の不正販売問題を受け、外部有識者で組織された「JP改革実行委員会」は1月、報告書の中で、内部通報者へのパワハラを「福岡事案」と呼び、内部通報制度の改善を急ぐよう迫った。

 今回の問題では、日本郵便のコンプライアンス担当役員が、処分された統括局長に対し、通報者名を伏せた上で内部通報があった事実を伝えており、これが一連のパワハラの発端になったとみられる。

 保険の不正販売問題を巡っても「内部通報制度が機能しなかった」と指摘された。ある郵便局員は取材に「特定されるのが怖くて通報できない」と話す。

 こうした問題点を踏まえ、日本郵政の増田寛也社長は3月の会見で「通報者保護の徹底を図るための施策に取り組む」と語り、通報情報の共有範囲を厳格化する規定の改正などに着手したと明らかにした。

 今回の問題で被害者側の代理人を務める壬生隆明弁護士は「被害を受けた局長たちが勇気を出して声を上げ、会社を動かすことができた。郵政グループには、社員の声に真摯(しんし)に耳を傾ける制度を構築してほしい」と話した。

(宮崎拓朗)

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