『図書館戦争』武装検閲隊VS自由防衛隊 銃撃戦、北九州でも撮影

フクオカ☆シネマペディア(31)

 とんでもない権力の弾圧である。武装した特務機関「良化隊」が図書館や書店に検閲に入り、「不良書籍」を押収する。これに対し、自衛武装組織「図書隊」が発足し応戦する。劇映画「図書館戦争」(2013年、佐藤信介監督)は、図書館の自由を巡って戦火を交えるサスペンス系のアクション映画。北九州市立中央図書館と同市立美術館もロケ地となっている。

 原作は有川浩の近未来SF小説。図書隊員の笠原(榮倉奈々)は高校時代、書店で良化隊の検閲に遭った時、本を守ってくれた隊員に憧れて入隊した。勇敢さと乙女心を併せ持つ生来の元気者で、指導教官の堂上(岡田准一)の厳しい指導を受け、力をつけていく。

 図書隊ができたのは、「性描写や暴力、差別的な表現を規制する」として書籍やウェブサイトへの行政検閲を合法化する「メディア良化法案」の成立が発端だった。法施行後、良化隊は銃器で武装する。一方、不当検閲に対する拒否権を付与された図書館側は、良化法の賛同団体が図書館を襲撃し12人を殺害した事件をきっかけに、図書隊を発足させるのである。

 良化隊の検閲に対し、図書隊は毅然(きぜん)として防衛戦を挑む。図書館を舞台にした銃撃戦は、想像したこともない異様な風景で、例えば、武装警察とスパイ組織の対決かと見まがうような激しさである。決死の戦いを挑む笠原は、スリムな肢体で銃弾をかいくぐり、任務を果たす。

 ヤマ場は、運営主が亡くなり閉館することになった私立図書館での衝突だ。良化法案成立時の不正の証拠を含む多くの法案関連資料を所蔵しており、図書隊が遺言で全資料を受け取ることになったが、不正発覚を恐れてか、良化隊は総力を挙げて全資料奪取を狙う。一方、同日、別の場所で開かれた運営主の告別式で、出席した図書隊の基地司令(石坂浩二)と警護役の笠原が何者かに誘拐される。

 法案成立時の不正とは何だったか。この作品では判明しない。行政権力側が法案成立に不利な資料を隠していたか、議員買収工作があったか、秘密裏にマスコミ報道を封じる不正工作があったか、いろいろと想像してしまう。続編もあるのだが、おそらくあったであろうライターや出版業界の良化法への抗議活動も含め、激しい戦闘シーンの裏側をこの作品でもっと見せてほしかった。

 それにしても、日頃よく訪ねたり、一度でも行ったことがあったりする文化施設が破壊され炎上する風景は、特殊撮影だと分かっていてもぞっとする。北九州市立美術館だろう、白い柱に銃弾で次々に弾痕が刻まれるシーンは、権力の暴走を象徴的に映しているように感じた。今、言論や表現の自由が不当に抑圧されていないか、無言で問い掛けているようにも思えた。

 〈われわれは本を守り、人々の自由を守る。本を焼く国は、いずれ人を焼く〉。こんな図書隊の決意表明は、メディアの片隅にいる者にとっては、とても響くものがあった。 (吉田昭一郎)

※「フクオカ☆シネマペディア」は毎週月曜の正午に更新しています

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