「益城町の被害あまりに知らない」震災に向き合い始めた10代

 新型コロナウイルス禍で熊本地震の語り部活動が停滞する中、地元の10代の若者が「古里で起きた地震のことを詳しく知りたい」と動き始めた。地震当時は多感な中学生で「友達と地震を話題にすることも避けてきた」若者3人だが、3月末に震源となった布田川断層帯の横ずれが露出する熊本県益城町の堂園地区で見学会を開催した。今は震災遺構などを盛り込んだ町の地図も作りたいと意気込んでいる。

 見学会を企画したのは、町内に住む江口響葵(ひびき)さん(18)と西夏希さん(18)、前田紘花(ひろか)さん(17)の3人。いずれも被災当時は同町立木山中の生徒。学校が被災し、2016年夏まで近くの小学校を間借りして授業を受けるなど不自由な学校生活を送った経験がある。地震の揺れがトラウマになった友人もいたことから、地震について同級生と話したり、授業で詳しく教わったりしたこともなかった。

 コロナ禍で高校が臨時休校中だった昨年5月ごろ、時間に余裕ができた江口さんはわが町を調べるうちに気付いたという。「町の被害をあまりにも知らない」。友人の西さんと前田さんに相談し、高校を卒業した今春、地震の傷痕を回ってみようと語り部として活動する堂園地区の農家永田忠幸さん(37)にガイドを依頼した。

 住民有志による「益城町語り部の会」などで17年4月から活動する永田さん。最初は年4件ほどだったガイドの依頼は徐々に増え、19年秋からは修学行のガイドも頼まれるように。しかし、昨年来の新型コロナ禍でキャンセルが相次ぎ、2月に県外の9校が訪れる予定だったが、全て中止に。「せっかく若い世代に知ってもらう機会なのに…」。そんな中での3人の依頼だった。快く応じた。

 3月30日の見学会には町民15人が参加。断層を初めて見た人がほとんどだった。3人は地震の被害を地図にまとめようと、他の地区も調べて回る考えだ。「5年前の地震被害を、自分が暮らす町を知るきっかけにしたい」と話す江口さん。永田さんも「彼女たちの活動の力になれれば」と応援の構えだ。 (綾部庸介)

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