元郵便局長「地域の信頼」悪用25年 日本郵便「業務外の行為」

 これほど巨額の現金詐取が、なぜ25年近くも見過ごされたのか―。長崎市の元郵便局長が郵便貯金などの名目で10億円超をだまし取った疑いのある問題。6日に緊急会見を開いた日本郵便の幹部は繰り返し頭を下げ、「業務外の行為で、監査で発覚しなかった」と釈明した。地域に密着し、信頼関係を築いていたはずの元局長が重ねた不祥事に、幹部はコンプライアンス(法令順守)徹底の難しさに頭を抱えた。

 「通常の日本郵便として行っている業務そのものでなく、業務外の行為」。会見した日本郵便の根岸一行常務執行役員ら3人は、元局長の不正行為が、通常の検査や監査の対象外だったことを強調した。

 日本郵便の内部調査によると、元局長は「利率のいい特別な貯金がある」などと被害者に声を掛け、通常の業務とは別に現金を集めていた疑いがある。要望を受ければ、預かった資金を返却することもあったといい、「お客さまも『返してくれる』ということで当社に相談がなかった」(日本郵便)と、不正に気づけなかった理由を説明した。

 元局長は長崎県出身で、父親も局長を務めた。県内の別の郵便局で経験を積み、1996年3月に局長に就任。その在任期間と重なるように、96年11月から25年近く詐取を続けていたとみられるという。

 「局長になって交友関係でお声掛けしやすかった可能性がある」「知人とお客さまの切り分けが難しい。(被害者には)親しくなったお客さまが含まれる」。元特定郵便局長として、地域から得ていた信頼が被害拡大の背景となった可能性も、根岸氏は口にした。

 元局長は、現金を受け取る際には、93年に取り扱いが廃止された郵便局の証書を手渡すなどして、架空の金融商品を信用させていた。規定では、廃止された証書は、各地の事務センターに返納することになっている。なぜ元局長の手元に証書が残っていたのか。その管理責任を会見で問われると、根岸氏は「警察の捜査に関わるので、回答は控えたい」と言葉を濁した。

 日本郵政グループは、かんぽ生命保険の不正販売問題に一定の区切りを付け、自粛していた個人向けの保険勧誘を5日前に再開したばかり。信頼回復を目指す中で、またしても発覚した不祥事。「お客さま対応に頑張っている社員にも申し訳ない」と頭を下げた根岸氏だが、再発防止策については「しかるべき時期に説明したい」と答えただけだった。 (山下真)

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