「遊興費に」50人から10億円超詐取か 日本郵便が全額補償へ

 長崎市の元郵便局長の60代男性が知人らから多額の現金をだまし取った疑いがある問題で、日本郵便は6日、被害を受けた人が50人、被害額が計10億円を超える可能性があると発表した。元局長は社内調査に対し、現金を詐取したことを認め、「遊興費などに使った」と説明している。日本郵便は被害者に損失の全額を補償する方針という。

 6日に東京都内で記者会見した日本郵便の根岸一行常務執行役員は「関係者に多大なご迷惑をお掛けし、深くおわび申し上げます」と陳謝した。日本郵便はすでに長崎県警と金融庁に事案を報告した。ほかにも長崎県の内外に被害者がいるとみており、刑事告発に向けて準備を進めている。

 長崎県警は、詐欺などの疑いで、関係者から話を聞くなど捜査を進めている。

 日本郵便によると、元局長は1996年3月から、2019年3月に定年退職するまで、長崎住吉郵便局(長崎市)の局長を務めた。元局長の申告に基づいて確認したところ、少なくとも1996年11月から2021年1月までの約25年にわたって、知人らに「利率のいい特別な貯金がある」などと架空の預入金や保険料の名目で持ちかけ、金を集めていた。定年退職後も発覚まで不正を繰り返していたという。

 今年1月27日に、被害者の一人から「貯金の解約を申し出たが応じてもらえない」との相談がゆうちょ銀行長崎店(同)に寄せられ、元局長に対する社内調査で発覚した。元局長は日本郵便の聴取に対し、金額などの詳細については覚えていないと説明している。

 長崎住吉郵便局は旧特定郵便局で、元局長の父親も局長を務めた。家族で長年、この地域を拠点に郵便や貯金などの業務を担ってきた。元局長は知人らから現金を受け取る際に、1993年に取り扱いが廃止された郵便局の証書を手渡すなどして、架空の金融商品を本物のように装っていたとみられる。

 被害などに関する問い合わせは日本郵便九州支社お客さま相談窓口、電話080(9890)8963。 (下村ゆかり、松永圭造ウィリアム)

【ワードBOX】旧特定郵便局

 主に窓口業務を担う局員数人の小規模局で、全国約2万4千の郵便局のうち4分の3超を占める。明治期に、地域の名士が土地や建物を提供して設置された郵便局がルーツとされ、2007年の民営化前まで特定郵便局と呼ばれた。局長の採用は、一般の局員とは別枠の公募などで実施。旧特定郵便局の局長でつくる全国郵便局長会(全特)の意向が反映されるといわれ、世襲で選ばれるケースもある。「地域密着」が求められ、定年退職まで異動しないことも多い。

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