思い悩み、体調崩した母…元暴走族「まだまだ返しきれていない」

復刻連載・18歳オトナですか?<6>

 少年法の対象年齢は20歳未満。人格が未熟で発展途上にあるとして、処罰より更生を重視し、実名報道も禁じている。

 「みんな自分がかわいいし、名前が出れば、犯罪しないやつは増えますよ」。だから選挙権だけでなく、少年法の対象も18歳まで引き下げればいい。そう思うA君には逮捕歴がある。

 道交法違反容疑だった。高校に入って間もないころ、暴走族の一員として迷惑走行を繰り返し、少年鑑別所に1カ月入った。強制に近い形で自主退学となったが、もちろん名前が公になることはなかった。「少年法は知っていた」

 今は足を洗い、日雇いで働いている。「また悪さをしたら、それが一番の親不孝」。大した理由もなくやんちゃだった暴走族時代、母は思い悩み、何度も体調を崩し、髪が薄くなった。体も一回り小さくなってしまった。

 資材運びなど力仕事ばかりで、月15万円ほどを手にする。その中から母が好きなソフトクリームを買って帰ったり、野球の券をプレゼントしたり、今できる精いっぱいの親孝行をしているつもりだ。

 「まだまだ返しきれていない。ずっと続けないと」。だったらまだ、自分を大人とは思えない? 「僕らがどう思おうと、大人はガキ扱いしてるでしょ」。逆に聞きたい。18歳はオトナですか?

    ×     ×

 満を持してのヤフオクドーム。昨年暮れ、高校3年のユメさんは仲良しの女子3人組で、アイドルグループ「嵐」のコンサートに北九州市からやって来た。

 まずは携帯電話に自撮り棒を付けて記念撮影。制服姿で背景にドームを入れる。「やばーい」。始まる前からテンションが上がる。

 そんなときに水を差すようで悪いけれど、オトナですか?と聞いてみた。「まだ子どもでいたい。走り回れないから。大人で走り回ったら『何、この人』って思われる」。裏返せば、自分をコントロールできるのが大人だと思う。

 今後の進路を尋ねると、理学療法士を目指して専門学校に入るという。「障害のある子のリハビリを手伝う仕事に就きたい」。小学生時代、障害児クラスに関わった経験が胸に残る。他の2人も地元の大学、東京の専門学校に進む。「はっちゃける(羽目を外してはしゃぐ)」のは今日だけだ。ちゃんとコントロールできている。

 そんな3人が大人への不満を口にする。身近でいえば、学校の先生。怒る基準がずれている。「そこで怒る?」と言いたくなる。

 矛先は国会の「先生」にも及んだ。「ウワーッと騒いでたじゃないですか」。2015年の安全保障関連法案の審議を見た。「小学校のとき、手を挙げて話せ、人の話を聞けって言われるのに。言いたい放題やん。相当、大人げない」。逆に聞きたい。あなたたちこそオトナですか?

=おわり

      ◇    ◇

 ◆連載「18歳 オトナですか?」は、選挙権年齢が18歳に引き下げられた2016年に掲載しました。2022年度には民法上の成人年齢も引き下げられます。彼らを大人として迎え入れる社会環境は整っているでしょうか。当時の連載を読み返し、考える材料にしてみませんか。文中の年齢、肩書、名称などの情報は全て掲載当時のものです。

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