投票者の性別欄って必要?

 今どき「性別」とかまだ書いてあるの?-。福岡県太宰府市に住む大学生の女性(19)が、同市選挙管理委員会発行の県知事選(11日投開票)投票所入場整理券を受け取って驚いた、と本紙「あなたの特命取材班」に声を寄せた。確かに「選挙人氏名」の隣に性別欄があり「女」と記されている。女性は有権者となって初めての選挙。「学校で性的少数者差別の問題とか教わったのに。ちょっとがっかり」。なぜ性別の記載があるのか、調べてみた。

 「投票所で回収した整理券と実際に交付した投票用紙の数を男女別に照合するためです」。太宰府市選管の担当者は取材にそう答えた。投票所の投票結果は「投票録」に記録する。公職選挙法の施行規則にある投票録の様式は、投票者数を男女別に記すよう定めており、「性別欄」はその確認のために必要という。

 総務省によると、整理券は投票所での本人確認のため市町村選管が発行する。だが何を記載するかは法令に定めがなく、それぞれの判断次第だ。

 性別欄を巡っては、性的少数者から削除を求める声が上がる。NPO法人「レインボースープ」(福岡市)の五十嵐ゆり理事長(47)は「投票所の受付でけげんな顔をされたり笑われたりした人もいる。苦痛に感じ投票に行かなければ性的少数者の声はさらに届かなくなる」と指摘する。

 自治体の対応は分かれる。九州7県の選管に取材したところ、佐賀、熊本、大分の3県ではそもそも性別の記載がないか、「男」「女」の代わりに、記号や数字で性別を表記する市町村が過半数を占めた。うち大分県は男女の記載はゼロ。一方、長崎、鹿児島両県は男女の記載が8割を超えた。宮崎県は未調査だった。

 政令市では、北九州市は遅くとも1987年の市長選以降は性別記載がない。福岡市は98年の参院選から性別を示す記号をなくした。両市は「選挙人名簿で性別は確認できる。整理券に記載は必要ない」とする。

 熊本市は2009年の衆院選から「個人情報保護」の理由で性別欄をなくす代わりに、欄外に男女を示す記号を残した。「本人と選挙人名簿とを正確に照合するため必要」(担当者)。ただ受付でのトラブルを防ぐため、本人確認は氏名や住所、生年月日で行い、性別は質問しないよう全職員に通知しているという。

 太宰府市選管は取材に「今後は男女の記載をなくす方向で検討している」としている。NPO法人福岡ジェンダー研究所(福岡市)の倉富史枝理事は「性的少数者の中には、性の選択を迫られることを苦痛に感じる人もいる。性別に関する問題は習慣化していると意識もせず気付きづらい。本当に必要なのかを考えるべきだ」と話した。 (梅本邦明)

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