高齢者にワクチン 不安解消に着実な接種を

 新型コロナウイルス感染拡大の「第4波」到来への危機感が高まる中、感染対策の切り札と期待されるワクチンの接種が週明けから、65歳以上の高齢者を対象に始まる。

 コロナ感染による死亡者の多くは70歳以上で、高齢者ほど重症化のリスクも高い。ワクチンはいま増加している変異株に対する効果などに不透明な面はあるものの、接種の開始は朗報と言えるだろう。

 ただし、当面のワクチン供給量は少なく、接種を受けられる人は一部に限られる。まずは5月の本格実施に向け、混乱なく軌道に乗せることが大切だ。ワクチン供給量が少ない初期段階で課題を洗い出してほしい。

 12日に全国でスタートする高齢者へのワクチン接種を、どのような優先順位や方法で実施していくのか。その判断は各自治体に委ねられている。

 集団感染を警戒して高齢者施設から始める自治体もあれば、申し込みの先着順に始める自治体もある。

 九州でも、福岡市は当面、地域のかかりつけ医による個別接種と並行して、高齢の民生委員や自治協議会長らを対象とした集団接種などを実施する。北九州市はまず民生委員らに集団接種を実施し、高齢者には集団接種を原則として個別接種の併用も検討する、といった具合だ。

 全国では、予約殺到で窓口が混乱したケースもある。接種を受けるかどうかは最終的に本人が決めることでもあり、自治体は市民が不安を抱かぬよう、接種に関する情報を丁寧に周知することが求められる。

 現在、関西や首都圏を中心に再び感染が拡大している。コロナ対応の改正特別措置法で新設された「まん延防止等重点措置」の適用自治体も週明けから増えることになった。

 こうした中、高齢者へのワクチン接種はコロナの感染治療との同時進行となる。接種後の副反応の経過観察も重要で、集団接種の会場には医師や看護師を手厚く配置する必要もある。保健所や医療機関にかかる負荷が増大することは確実だ。要員の手当てが怠れない。

 離島やへき地でワクチン接種を担う医療従事者が不足しているとして、全国知事会などは医師や看護師を地方へ派遣する仕組み作りを国に求めている。都道府県単位でも医師会などと協議し、実効性のある支援策を早急に打ち出すべきだ。

 自治体の側には国からのワクチン供給の時期や量に関する情報が曖昧で計画を立てにくいという不満がある。政府はワクチンの量の確保に一段と注力するとともに、全体のスケジュールなどを小まめに示すべきだ。

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