被災者の見守り岐路に 熊本地震の訪問支援所、11市町村で閉所

 熊本地震から5年近くがたち、被災者の見守り支援が転換期を迎えている。訪問相談を担う自治体の「地域支え合いセンター」を2020年度に運営した熊本県内14市町村のうち、11市町村が3月末までに閉所。住宅再建が進んだ自治体への国の運営補助が終了したり、従来の民生委員による相談などに引き継いだりするためだ。災害公営住宅などで暮らす被災者の孤立や困窮への懸念はなお強く、自治体は継続的な支援の在り方を模索している。

 センターは東日本大震災を機に定着。仮設住宅を抱える自治体が設置し、主に社会福祉協議会(社協)に運営を委託する。仮設住宅や転居先の災害公営住宅などを支援員が回り、困り事や要求を専門機関につなぐ。イベントなどを企画し、住民交流を促す役割も担う。熊本地震では仮設住宅がある間、国が関連費を5年間全額補助してきた。

 熊本県では、被災後に18市町村がセンターを開設。20年度は14市町村が運営を続けてきたが、11市町村が「住宅再建のめどが立った」などとして3月末までに閉所した。今後も継続するのは、一定の仮設住宅が残る熊本市、益城町、西原村の3市町村。益城町は仮設住宅での見守りは続けるが、災害公営住宅などの見守りは3月末でほぼ終了している。

 ただ、見守り支援へのニーズは強く、南阿蘇村は3月末の閉所後も自主財源で支援員2人の巡回を続ける。同村は「仮設を出た後も地域になじめないなどの懸念はあり、特有の支援が大切と判断した」と説明する。

 益城町を含む11市町村は民生委員や、介護の相談窓口「地域包括支援センター」などが役割を引き継ぎ、これまでの訪問相談はなくなる。益城町は「いずれは支援態勢の移行が必要で、福祉と連携も深めてきた」とする。阿蘇市はセンターの支援員1人を社協に再雇用し、被災者との関係を生かした対応を続ける。

 センターを閉所した自治体の中でも、支援が行き渡らなくなることを不安視する声はある。ある自治体関係者は「見守りの継続が望ましい人もいるが国の補助がないと難しい。センター機能維持を後押ししてほしい」と話す。 (大坪拓也)

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