新型たばこのにおいで退職「化学物質過敏症引き起こすことも」

 「職場の新型たばこのにおいで仕事を辞めました」。新潟日報の双方向報道「もっとあなたに特別報道班」に、女性から新型たばこの害を訴える声が届いた。「かっこいいなどのイメージがある新型たばこだが『化学物質過敏症』を引き起こす可能性があることを知ってほしい」

 新潟市の50代女性にとって、職場は逃げ場がなかったという。新型たばこを吸って喫煙室から戻った同僚の息で「吐き気やめまい、気道が狭くなるような息苦しさ」といった症状が出た。喫煙者と会話した非喫煙者の呼気でも「意識がうつろになった」。服や壁についている、においもきつかった。

 新型たばことして普及している加熱式たばこは、タバコの葉を電気で加熱して発生した蒸気を吸引したり、溶剤を加熱して霧状になったものをタバコの葉に通過させて吸ったりする。昨年4月施行の改正健康増進法では、製品の販売歴が浅く健康への影響が判明していないとして、飲食店に対しても加熱式専用の喫煙室での飲食を認めている。

 ただ、女性は「紙巻きたばこと比べ、新型は健康の害やにおいが少ないというイメージがあるが、私の場合はより症状が出た」と語る。職場ではマスクを重ね、体ににおいがつかないようショールをかぶったが、症状は悪化した。

 職場の理解も得られなかった。加熱式たばこを吸う同僚から離れた席に何度も移動したが、上司にはわがままと捉えられ、職場で孤立した。「新型コロナウイルス禍で次の仕事が簡単に見つかると思えないが、限界だった」。2月、会社を辞めた。

 「たばこ対策」について研究する新潟大の関奈緒教授(公衆衛生学)は加熱式たばこの危険性について「紙巻きにはない化学物質が含まれている可能性がある」と指摘する。

 「たばこは吸った息の3分の1がそのまま出てくる」と関教授。奈良県生駒市では職員が喫煙後45分間は庁舎内のエレベーターを使用しないといった事例もあるほどだ。

 関教授は「アレルギーの人にとっては命に関わる問題」として、たばこのにおいで苦しんでいる人がいるということを喫煙者と社会が理解し、できる範囲で対処するよう求めている。 (新潟日報・本間美季子)

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