「結果分かっていた」相乗りに冷めた民意 投票率最低、コロナも影

 福岡県知事選の投票率は、2015年を下回って過去最低を更新した。自民党や立憲民主党が元副知事の服部誠太郎氏を支援する「多党相乗り」の構図となったことで争点がぼやけ、選挙ムードが盛り上がらなかった。また、新型コロナウイルス感染を懸念し、投票所に行くのを避ける傾向も見られた。

 「多党相乗りで最初から結果が分かっていた」。投票に行かなかった筑紫野市の男性(82)は、きっぱりと言い切った。ぎりぎりまで投票するかどうか迷ったが、「元副知事は“横滑り”で立候補したから、政治家としての実力が分からない。積極的に票を入れようとまでは思えなかった」と話した。

 服部氏に投票した北九州市小倉北区の主婦(74)も「当選者は決まっているようなもので投票するか迷ったが、投票所には知人もいるので付き合いの一環で来た」と消極的な理由だったことを明かした。

 多党相乗りは、県議会で長らく続いた保守と革新の対立への疲れから生まれたが、議論が低調になり、「有権者の選択肢を狭める」との批判もつきまとう。投票率38・85%で、初めて4割を切った15年の知事選も現職に5党が相乗りする構図。自民分裂となった19年は関心が高まり、42・72%にまで回復した。

 さらに今回は、コロナ感染への不安感が投票所から足を遠ざけた。福岡市南区の販売業の女性(29)は「お客さんに接する仕事なのであまり家から出ず、3歳の娘の外遊びも極力減らす生活を続けている。感染を広げてしまうのが嫌なので、人が集まる投票所には行きたくなかった」と話す。久留米市の20代男性公務員も「感染が怖いので行きたくなかった」。北九州市小倉北区のアルバイト男性(25)は「休みを使ってわざわざ感染リスクのある場所に行きたくない。行っても日常が変わるとは思えないし、元副知事の当選で決まりだろう」と語った。

 統一地方選から外れた上、コロナ下で候補者討論会も開かれなかったため、選挙ムードは一層盛り上がらなかった。福岡市中央区の会社員女性(38)は「選挙カーが走っているのも全然見ていない。結局、誰が立候補しているか知らずに終わった」と振り返る。飯塚市の飲食店経営の40代女性は「知事は遠い存在。県民の声が届くとは思えない」と話した。

 一方、投票した人からは、新知事のコロナ対策に期待する声が目立った。服部氏に投票した北九州市小倉北区の会社員女性(39)は「知事のすぐ近くで政治に関わってきた経験を生かして頑張ってほしい」と話す。また、福岡市中央区の会社員女性(46)は「コロナ対策は収束までの一時的なもので、誰が知事になってもやらないといけない。それ以外にも、福岡市以外での経済や雇用を刺激する政策を進めてほしい」と注文を付けた。(華山哲幸)

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