第4波備え、経済…初の「生え抜き知事」問われるリーダーシップ

 福岡県で初めて県職員生え抜きの知事となった服部誠太郎氏(66)。新たな県政トップとして、ただちに新型コロナウイルス対策に取り組むことになる。県内でも変異株感染が増え始めており、「第4波」が迫っている状況だ。医療提供体制の強化やコロナ禍での地域経済立て直しを、遅滞なく進めなければならない。行政マンから脱却し、県民の命と生活に責任を負う知事としてのリーダーシップや判断力が問われる。

 服部氏が副知事として9年半支えた小川県政には、「官僚的」「独自性に乏しい」などの批判がつきまとった。昨年以降のコロナ対応でも、県が確保した病床数は国が示した規模通り。早め早めに動いて、国の想定数を大きく上回る数を確保するため県内に号令することもできたはずだが、政治判断は遅れ、結果として病床逼迫(ひっぱく)が繰り返された。

 度重なる外出自粛や営業時間短縮で地域経済は疲弊。雇用環境も冷え込み、ひとり親家庭などにしわ寄せが及んでいる。孤立して悩みを深める高齢者や若者も増えた。

 経済や生活弱者への手厚い支援は急務だが、未知の「第4波」への備えも重要だ。ただ、県政の継承を掲げる服部氏が選挙公約に盛り込んだ対策は従来の施策を拡充する内容にとどまっており、不安が残る。

 服部氏は副知事時代、県議会や財界などとの「調整役」として力を発揮した。小川洋前知事と軋轢(あつれき)のあった自民党県議団とのパイプ役を果たし、議案審議が進まないなどの問題の解決に奔走してきた。

 今回の選挙では、その自民県議団が服部氏の擁立を主導し、選挙戦でも全面的に支援した。それだけに、県庁内や財界からは「(県議団の)かいらい政権になるのではないか」との声もささやかれる。

 また、多党相乗り構図で選挙への関心が高まらなかった上、コロナの影響で集会や討論会も制限され、議論は深まらなかった。投票率は過去最低を更新した。

 服部氏は選挙戦で県内をくまなく回り、有権者の切実な声に耳を傾ける中でこう肝に銘じたという。「県民をど真ん中に置いて県民のために何をなすべきかしっかり考えて行動する」

 命や暮らしに直結する判断を下す知事と、知事を補佐する副知事とでは背負う責任が全く違う。小川県政に足りなかったスピード感を持ち、しがらみを超えて、県民に軸足を置いた「服部県政」を築いてほしい。(黒石規之)

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