福岡に新知事 県民に届く言葉と政策を

 小川洋前知事の後任を決める福岡県知事選は、直前まで副知事を務めていた服部誠太郎氏が初当選した。選挙戦は盛り上がりを欠いたが、服部氏の掲げた小川県政の継承を民意が支持したことになる。

 新型コロナ禍に対応していた現職知事が突然病気で辞職したことに伴う異例の選挙だった。服部氏は自民、立民、公明、社民4党の推薦を得て、共産党が支持する候補に大差をつけた。

 福岡県庁に44年勤めた服部氏は、初の県職員生え抜きの知事となる。行政組織トップの力量に加え、県民に選ばれた政治家としての手腕が問われる。

 数ある重要課題で、最優先すべきなのは新型コロナ対策だ。感染力の強い変異株が各地で急拡大し、懸念が強まっている。

 福岡県は2月末に緊急事態宣言が解除されたものの、4月は感染者が増加傾向にある。今年に入り専用病床の使用率が70%を超える深刻な時期があった。病床確保の備えを急ぎ、救急医療や一般診療へのしわ寄せを抑える手だても求めたい。

 コロナ対策は市町村との連携が必要だ。地場経済への打撃が長期化し、特に非正規で働く人の生活を困窮させている。服部氏が選挙戦で唱えた「オール福岡」で支援策を充実させたい。とりわけ福岡、北九州両政令市との協調はコロナ対策のみならず、バランスの取れた県政運営に欠かせない。

 今回の知事選で残念だったのは、投票率が過去最低の29・61%に落ち込んだことだ。

 服部氏に多くの政党が相乗りして選挙戦を終始優位に進めた影響が大きい。もう一つ指摘したい。候補者が福岡県の近未来を描く政策と明快な言葉で、県民の関心を引き付けられなかったことも一因ではないか。

 小川氏は2月下旬、任期を2年残して辞職を表明した。十分な準備期間がなかったせいか、服部氏の選挙公約は概して抽象的な印象が否めない。

 選挙は地域の課題を再認識する好機だ。候補者は都市や農山漁村でさまざまな人と接し、暮らしの実情を知る。服部氏も知事選で県内を回り、県職員時代とは異なった実感を得たことだろう。次は知事として県民との対話を重ね、具体的な政策を届けることに努めてほしい。

 県議会との関係にも注文を付けておきたい。

 服部氏を支援した議員たちの会派が全87議席の圧倒的多数を占める。知事と議員に生じる誤った「与党意識」で緊張感を失ってはならない。県議会は服部氏が提案する議案に不足があれば修正や否決をすればよい。両者は議論を尽くし、是々非々の関係を貫くべきである。

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