ワクチン2回、医療従事者もまだ1割 接種日程「無理がある」

 高齢者対象の新型コロナウイルスのワクチン接種が12日、各地で始まったが、先立って接種対象となっている医療従事者もほとんどがまだ打てていない。コロナ患者の診察や集団接種を担い、感染リスクが高い上に、「第4波」も足元まで迫りつつあり、医療関係者からは「一般向けの接種が順調にできるのか」と不安の声も上がっている。

 医療従事者への優先接種は、院内クラスター(感染者集団)発生による医療崩壊を防ぐための切り札として2月17日にスタート。厚生労働省によると、2回の接種が終わったのは、対象者約480万人中の1割程度。福岡県は約21万人中2万人余りが接種済みで、コロナ病床を持つ県内21の重点医療機関と46の協力医療機関の医療従事者は「おおむね終わっている」とする。

 ただ、コロナ病床がある協力医療機関、健和会大手町病院(北九州市小倉北区、499床)では職員約千人中、接種を終えたのは75人だけという。「集団接種会場に職員派遣を市から要請されているが、このままでは難しい。政府が『高齢者は12日から』と打ち上げたから、全国的に帳尻を合わせただけで、そもそも接種スケジュールに無理があるのでは」と担当者はいぶかしむ。

 1日約350人の集団接種会場に指定されている古賀病院21(福岡県久留米市、217床)の職員はまだ一人も打っていない。「30~40人の職員を投入しなければいけないのに、見通しが立たない」と宮川洋介院長。免疫獲得には接種後2~3週間はかかる。コロナの回復患者を受け入れる後方支援病院でもあり「こんな状態で第4波が来たら大変だ」。

 地域の診療所や高齢者施設の職員、消防署員らへの接種を担当するさくら病院(福岡市城南区、152床)も接種は遅れている。江頭啓介院長は「感染対策を徹底しながら気長に待つしかない」と話す。

 福岡市ではかかりつけ医での個別接種がメインとなるが、市内の診療所に医療従事者用ワクチンが配送されるのは今週半ば以降という。市医師会の平田泰彦会長は「医療従事者の間でもワクチン格差がある」と指摘する。

 市は12日から診療所で高齢者の個別接種を始めるとしていたが、発熱などの副反応を心配する声も根強い。平田会長は「まずは自分たちが打ってみなければ、高齢者にも打ちにくい」として職員への接種を優先するよう会員に促す。高齢者への接種開始は19日ごろにずれ込むという。

(下崎千加、小林稔子)

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