福島原発の処理水放出「同じ立場なら反対」九州からも

 東京電力福島第1原発の処理水を海洋放出する政府の正式決定が与える影響について、豊かな自然や食、観光地を抱える九州の関係者からは「決して人ごとではない」と心配する声が上がった。

 「福島の漁業者はたまったもんじゃないだろう」

 九州電力玄海原発が立地する佐賀県玄海町の漁業者の男性(62)は憤る。全漁連は海洋放出に反対。男性は近隣に原発がある身として、福島の漁業者が置かれた状況を思いやる。「自分が同じ立場なら、海洋放出には絶対反対だ」

 原発事故後、54の国・地域が日本の食品の輸入規制を実施した。その後、39の国が規制を撤廃したが、福島県などの水産物の輸入を停止する中国や韓国、台湾は、輸入品に対し産地証明を求めている。海洋放出の正式決定により、九州の観光や貿易への影響を懸念する声も聞こえる。

 長崎県は地の利を生かし、アジアの各地に鮮魚など水産物を売り込み、輸出量を増やしてきた。ただ中国は、魚介類の放射性物質の検査を義務付けており、コスト高が課題。同県水産加工流通課の担当者は「海洋放出で、規制が強化されないか心配している」と各国の対応を注視する。

 同県対馬市で韓国人行者向けの宿泊所を経営する崔龍五(チェヨンオ)さん(53)は、新型コロナウイルス感染症の収束後を見据え、訪日観光へのダメージを不安に思う。原発事故が発生した当時、旅行者から「対馬の魚を食べて大丈夫か?」と質問され、驚いた。「日本に詳しくない韓国人には東北も九州も同じ。日韓の行き来が元に戻っても、訪日客が増えてくれないと困る」と話した。

 (井崎圭、津留恒星)

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