本屋大賞に町田そのこさん 京都郡在住、「52ヘルツのクジラたち」

 全国の書店員が最も売りたい本を選ぶ「2021年本屋大賞」が14日、都内で発表され、福岡県京都郡在住の町田そのこさん(41)の「52ヘルツのクジラたち」(中央公論新社)が大賞に選ばれた。九州在住者の受賞は初めて。会見した町田さんは「喜びよりプレッシャーが大きく、胃薬ばかり飲んでいます。賞に見合う作品だと信じ、背筋を伸ばして受け取り、精進していきたいと思います」と涙で声を詰まらせながら喜びを表現した。

 町田さんは北九州市立高等理容美容学校を卒業後、理容院や菓子店などに勤務。16年に「カメルーンの青い魚」で「女による女のためのR-18文学賞」大賞を受賞。翌年、同作を含む連作短編集「夜空に泳ぐチョコレートグラミー」でデビューした。

 受賞作は、大分の海辺の町に移り住んできた女性が主人公。母親から虐待を受けている少年に寄り添いながら、自らの過去に向き合っていく。虐待というテーマについては「私の中で言葉にできないから書いた」と説明。さらに丁寧に言葉を選びながら「書くことで自分の姿勢を整理し再確認できた」などと続けた。

 恋人間のドメスティックバイオレンス(DV)やLGBTなど性的少数者の問題も扱った作品。クジラが発する音波を聞くように、苦しみの中にある人の声に耳をすませる登場人物の心の交流を描く。「読者さんに『周りの声に耳を傾けようと思った』という感想をもらい、うれしかった」と明かし、「読み終わって前向きになれる、読み終わって一歩進める物語を書きたい」と抱負を語った。

 翻訳小説部門はディーリア・オーエンズ著「ザリガニの鳴くところ」(友廣純訳、早川書房)が選ばれた。 (平原奈央子)

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