減る非行、消える少年院 岐路を迎えた集団での育て直し

再起を見つめて(1)

 「2021年度末での閉庁が決まった」。北海道十勝平野の中心部にある帯広少年院(帯広市)に衝撃が走ったのは19年7月。東京から来た法務省幹部が、会議室で職員二十数人に告げた。「時代の流れに逆らえなかったか」。帯広で13年間勤務する法務教官の斉藤岳人(35)は唇をかんだ。

 全国の少年院入院者は1727人(19年)で10年前の4割に減り、施設数は54から48になった。道内では月形学園(月形町)が昨年3月に閉庁し、北海少年院(千歳市)と帯広だけ。この10年、帯広の収容率は定員96人の2~3割だった。

非行が進んだ子も、障害でお漏らしする子も

 「少年の特性に応じた適切な矯正教育を行う」(少年院法1条)、「最善の利益を考慮し処遇する」(同15条)。こう掲げる少年院は、刑務作業中心の刑務所の子ども版ではない。1人ずつ立てる教育計画を基に、担任の法務教官や寝起きする寮の担当教官が24時間切れ目なく向き合う。

 少年院は4度目、教官にくってかかる、複数の障害がありお漏らしをする…。最も非行が進んだ子や障害がある子が入る帯広は、環境の変化に適応できない少年も多い。

 「帯広の一部の少年は関東の少年院に転院させる」。法務省内部では、効率性を重視し、空きがある施設に移す構想もあった。ただ、転院先で手のかかる子に最善の処遇ができるのか、保護者の協力や退院後の引受先はどうするのか、課題は山積していた。

定員148人に9人、「収容率」九州最少の施設

 「うちの教育を北海に移す『施設内施設』を提案したい」。昨年6月、院長の上野友靖(52)は道内の会合で発言した。「少年ファースト」で、北海の中に帯広の少年と教官の一部を移し、変化を最小限にしようと考えた。数カ月議論して上野案を軸に、北海への統合が決まった。

 九州の6施設も例外ではない。平均収容率は2割強で、最も少ない佐世保学園(長崎県佐世保市)は定員148人に9人(1月末現在)。社会性を養う場でもある寮が閉鎖されたり、行事の開催が困難になったりしている。人吉農芸学院(熊本県)の職員は「運動会で院生は出ずっぱりですよ」と苦笑する。

 「統廃合を見据え、各施設の指導の強みを失わないよう少年院のあり方を議論する時だ」。上野は実感を込める。

 「集団での育て直し」は岐路を迎えている。 

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