中国V字回復に影落とす新冷戦 米の禁輸措置で半導体不足深刻

 中国の今年1~3月期のGDPは、新型コロナウイルス禍で昨年、初のマイナス成長に落ち込んだ反動で過去最高の伸びとなった。中国の経済規模が米国を追い抜く日がさらに近づいたとの見方もある。ただ、米国による対中禁輸措置で半導体不足が深刻化。国家発展戦略の柱であるハイテク産業だけでなく、V字回復に貢献してきた自動車産業も打撃を受けるなど「新冷戦」とも呼ばれる米中対立が中国経済に影を落とす。 (北京・坂本信博)

 北京市中心部にある中国通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)の販売店。一番目立つ場所に、2月下旬に発売されたスマートフォンの最新機種「Mate X2」が展示されていた。上位機種は約1万9千元(32万円)と高額だが、人気を集めている。

 高機能が詰まった折りたたみ式で、高速大容量の第5世代(5G)移動通信システム対応。店員は誇らしげに説明してくれたものの「残念ながら在庫切れで、入荷時期は未定です」と申し訳なさそうに言った。

 トランプ米前政権はハイテク分野で対中輸出規制をかけ、バイデン政権も方針を継続。その影響で、同社や半導体受託生産最大手の中芯国際集成電路製造(SMIC)は、高性能半導体や製造機の調達が困難になっている。新商品も近く発売予定だが、ファーウェイ社員は「最新鋭スマホ用の高性能半導体は在庫が尽きかけている」と明かす。

 あらゆる分野の製品に欠かせない半導体について、業界関係者は「コロナ禍で世界的に半導体の生産体制が逼迫(ひっぱく)していることに加え、米国の禁輸措置で需給バランスがますます崩れている」と指摘する。

 中国メディアによると、新興電気自動車(EV)メーカーの上海蔚来汽車は先月、半導体不足などを理由に5日間の生産停止を余儀なくされた。中国自動車工業協会によると、今年2月の自動車生産台数は前月比で4割近く減ったという。

 習近平指導部は自国の科学技術向上を掲げ、2025年には半導体の自給率を7割とするための支援策を強化。昨年だけでも約1万社が新規参入した。ただ、半導体製造装置メーカーの世界トップ10社は欧米や日本が占めており、技術力不足も深刻だ。業界関係者は「半導体製造装置を確保できなければ、メード・イン・チャイナは二級品どまりになる」と指摘する。

 米中対立の先が見えない中、米国は日本などと半導体などの確保を巡り連携を深める。北京の外交筋は「中国にとって、半導体や工作機械の製造技術を持つ日本は重要な存在。習指導部は日米首脳会談の行方を注視している」と話した。

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