コロナ下、芽吹いた小さな作家 7歳次々入賞「もっと伝えたい」

 新型コロナウイルスの感染拡大をきっかけに始めた作文で次々に入賞し、共感を広げる「小さな作家さん」がいる。北九州市小倉北区の小学2年生、能美になさん(7)。家族への感謝や日常の気づきをつづり、全国で約1500人が応募したコンクールで最優秀に選ばれるなど、この1年で手にした賞は20を超えた。会話で気持ちを伝えることは苦手でも、作文なら大勢の人が読んでくれる。「もっと書きたい」。日々、鉛筆を握っている。

 「マスクが『みえるかべ』なら、このふあんなきもちが『みえないかべ』なんじゃないかなとおもった。『みえるかべ』のマスクははずせないけれど、『みえないかべ』はすこしでもひくくすることができる」

 1年前、入学したばかりの小学校が新型コロナで休校になり、母なな実さん(36)の勧めで作文を始めた。座っているより、フラフープやバレエなど体を動かすことが好きだったになさんは最初、鉛筆を持っても言葉が浮かばなかった。

 気持ちの表現の仕方や作文の書き方を動画や本で学ぶことから始めた。文章は「初め、中、終わり」で構成する。起承転結があって、「初めと終わりはつながっている」―。

 「イメージマップ」も書いた。「壁」がテーマなら「壁→邪魔なもの→マスク、顔が見えなくて何を考えているかわからない不安」。広告の裏紙いっぱいに書き、はさみで切り抜く。近い意味のものを並べてしっくりくる言葉を使った。

 「二つのかべ」と題した作文は、一般社団法人が主催する「言の葉大賞」で1493人の中から最優秀賞を受賞。文章なら納得いくまで言葉選びができると知った。一つ仕上げるまで3日から1週間。「言いたいことが誰かに伝わっている」のが楽しくなり、机に向かう時間が増えていった。

 糖尿病の祖父の話も書いた。タイトルは「おじいちゃんをまもれ! スパイだいさくせん」。突然倒れて入院した祖父が点滴や管につながれた姿を見て、怖くなった体験を書いた。になさんは家族と「秘密会議」を開き、運動嫌いの祖父に適度な運動をしてもらう作戦を練った。

 「おじいちゃんにできるだけかわいくおねがいします。さくせんとはきづかず、よろこんでなぜかとおくのポストまでてがみをだしにいってくれるのです。スパイはたいせつなものをまもるためにひみつのかつどうをしています」

 作文を読んだ祖父は「まさか自分のことを書いてくれるとは。よく観察している」と大喜び。家の中で一緒に運動するようになったという。この作品は別の作文コンクールで入賞した。

 周りのものをじっくり観察したり、自分の気持ちに向き合ったりするのが好きになったというになさん。気づいたことは、コンクールでもらった手帳サイズのネタ帳に書きためている。新年度、2年生になった「小さな作家さん」の筆は止まらない。

(壇知里)

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