低下続く投票率 首長を選ぶ意義考えたい

 首長選挙の投票率低下に歯止めがかからない。九州で今月行われた選挙でも過去最低が相次ぎ、福岡県知事選は20%台に落ち込んだ。選挙離れは住民の意思で地域を運営する住民自治の土台を揺るがしかねない。

 総務省の2019年統一地方選の記録によると、全国59市長選の平均投票率は47・50%で、初めて50%を割った。今月投開票された市長選でも福岡県柳川市が40%台にとどまるなど、有権者の過半数が投票しない選挙は珍しくなくなった。

 身近な知事や市町村長を直接選ぶ意味をいま一度考えたい。

 知事など首長は、住民から集めた税金で公共の事業・サービスに充てる予算を編成し、まちづくりの計画やルールを作り、執行する。住民の代表であるとともに、行政の最高責任者である。首長選は4年に1度、この重責を担う人物を選ぶ機会だ。

 投票率が下がり、当選に必要な得票が少なくなると、選挙は特定の支持組織を持つ候補者が有利になるといわれる。選挙運動は組織固めが優先され、それ以外の住民との接点が軽視される懸念が生じる。

 有権者には首長を選ぶだけでなく、解職請求(リコール)する権利がある。首相を直接選んだり、辞めさせたりすることができない国政の仕組みとの大きな違いだ。首長と住民の関係はそれほど密接であり、一定の緊張感を伴う。投票率が低下する一方では、首長は強い信任を得たことにならない。

 投票をしない人が増えた原因はさまざまある。選挙に携わるあらゆる人が現状を深刻に受け止め、関心を高める手だてを考えなければならない。

 候補者の名前を連呼し、頭を下げるばかりの選挙運動を見直し、地域課題と公約をセットにして「選ぶための情報」を有権者に届ける工夫を求めたい。ネット選挙も十分に活用されているとは言い難い。

 自治体は投票しやすくする方策を検討してほしい。投票所の数が減り、長距離の移動を強いられる高齢者が増えている。移動投票所やショッピングモールのように人が集まる場所で1票が投じられるようにしたい。

 選挙権年齢は18歳以上に引き下げられたものの若い世代の投票率は低い。主権者意識を育む教育の充実も不可欠だろう。

 九州をはじめ全ての自治体が人口が減っても豊かに暮らせる地域づくりの課題に直面する。住民と合意形成し、地域事情に合った施策を打ち出す首長の役割は重みを増す。

 住民自治は幅広い世代の参加と責任によって成り立つ。その機能を確かなものにするために選挙への意識を高めたい。

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