経済打撃、協力金膨張…「休業要請」政府及び腰 大阪が宣言要請

 新型コロナウイルスの「第4波」で医療崩壊の危機に直面する大阪府が20日、3回目の緊急事態宣言要請に踏み切った。大規模商業施設などに対する休業要請で人出を抑え込み、人と人の接触を大幅削減して局面を変えたい意向だ。一方、要請を受ける政府サイドには経済への打撃や休業要請に伴う「協力金」の膨張への懸念があり、温度差も。東京都も宣言要請に傾く中、政府は険しい判断を迫られている。

 大阪府の吉村洋文知事はこの日、宣言発出要請を正式決定した後、「感染を抑えるには、今までのやり方は通用しない」とその理由を率直に説明した。

 大阪で「まん延防止等重点措置」の適用が始まったのは5日。効き目が現れるとされる2週間を経てもなお、1日の新規感染者は千人オーバーが続き、重症者用病床の使用率も80%に。医療提供体制の逼迫(ひっぱく)度は「災害時レベル」と言われるほどの危険水域に入っている。

 後がなくなった吉村氏が強く求めるのが、現行法では最も強い措置となる休業要請だ。

 百貨店やショッピングモール、レジャー施設などを一時的に閉鎖することでそこに集まってくる人流を物理的に断ち、接触機会をなくし、感染を止める-。こうした大規模施設自体が目に見えるクラスター(感染者集団)の温床となっているわけではないだけに、企業にも「痛み」の受容をお願いする一手。だが、感染力が従来の1・32倍とされる変異株が猛威を振るい、大阪府の新規感染者の8割を占める現状ではやむを得なかったとみられる。

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 こうした大阪側の苦境に理解を示しつつも、政府内には慎重論が根強い。

 政府高官は20日、「(吉村氏は)思いつきで言っている感じがする。実際にやるのは相当、大変だ」。別の官邸幹部も「休業要請まで本当に必要なのか」と疑問を呈した。自治体との調整役の西村康稔経済再生担当相は、記者会見で「具体的に何を強化すべきなのか、対応を急いでいる」と踏み込んだ反応を避けた。

 政府サイドからすると、大阪のすぐ後ろで人口、経済規模とも最大の東京都が宣言要請の待機状態に入ったことも大きい。大型施設などへの休業要請を行った昨春の1回目の緊急事態宣言により、4~6月期の国内総生産(GDP)が大幅に落ち込んだ記憶は生々しく、コロナ対策に取り組んできた百貨店業界などからの強い反発も必至。要請対象が幅広い業種に及んだ場合、「協力金」も相当な規模となる。

 とはいえ、仮に対応が少しでも後手に回れば、重症者に十分な治療を施せない最悪の事態を招きかねない。国内の死者数は1万人に迫る。

 夜、西村氏ら関係閣僚との協議を終えた菅義偉首相は官邸を出る際、記者団の問い掛けに「速やかに判断したい」と応じた。その表情からは、苦悩が読み取れた。

 (河合仁志、前田倫之、久知邦)

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